三毛犬ジョニーへの伝言

旧「自堕落な蟻」 ブログ名変えました。ジョニーは昔飼っていた可愛いビーグルの名前です。

アブラムシとアブラムシ

最近、昼間外を歩いていると、顔の周りをうわんうわんと、小さな小さな虫がたくさん舞いませんか??
うかうかしていると、口や目に入ってしまいそうです。。

テレビで見たのですが、あの虫の正体は「アブラムシ」なんですって。
小さな小さな黄色の虫です。
子供のころ、バラの花によくくっついていたのを覚えています。

今年は、特に都心で、アブラムシが大発生しているそうです。
原因は、去年の11月の気温が、平年より2度ほど高かったからだとか。

アブラムシ君の大発生は6月まで続くそうです。

鬱陶しいけど、別に害のある虫ではありません。誤って口に入れてしまっても、毒ではないから大丈夫なんだそうです。。おえ。
まあ、耐えましょう。
ここまでは、かわいいアブラムシくんのお話。

・・・さて、もう一つのアブラムシの季節がやってまいりましたよ(恐怖)。。
昭和一ケタのうちの義母にとっては、アブラムシといえば、アレなんですよ、アレ。
地球で一番繁殖力が強いという、アレです。

アレの襲撃に備えて、「ゴキゼロ」という駆除剤買ってみました。
ホイホイちゃんも買ってみました。

・・・で、でも私は殺虫剤に付いてるアレの絵を見るだけで悪寒が・・・!!!

どうか今年は来ないでください~!アナタの軽やかなステップの音、つややかなお体を見ると、私鳥肌立っちゃうの♪
感動しているんじゃないのよ??念のため。。。

一昨年、アレが階段で出たとき、義母は一言

「あ、アブラムシ!!」

素手でぱあんと、アレをしとめられました・・・・!!

お義母さま、この不肖の嫁、貴方様を一生尊敬いたします。。。

あ~早く冬が来ますように~~~!!
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まっすぐな道でさみしい

種田山頭火と言えば、稀有の自由律俳人、それと同時に、飲んだくれで放浪癖があり、妻子も家も捨てたどうしようもない「ロクデナシ」だったと、高校のとき国語の先生が、少々憎らしげに、教えてくれた記憶があります。

これはその種田山頭火の一生を描いた、いわしげ孝氏の漫画です。

怠け者で横暴で、しかも好色な父親を持ち、母はそんな夫(姑も冷たい)に苦しめられ、正一(山頭火)が11歳のときに投身自殺をしてしまいます。
このことが後の山頭火の人生に、暗い影を落とします・・。
自分にはあの父と母の血が流れている。俺は人と関わるのが怖い・・と。

この漫画に描かれる山頭火は、それでも「愛すべきロクデナシ」です。
いかに彼が自堕落な、奔放な人間だったにしても、それは俳人種田山頭火の才能とはまた別の問題でしょう。

山頭火の生み出した自由律の俳句の数々・・・、
「まっすぐな道でさびしい」
「分け入っても分け入っても青い山」などなど・・は、日本だけではなく欧米でも人気があるそうです。

さておき、何故この漫画を取り上げたいと思ったかと言えば、山頭火の妻、咲野について語りたかったからです。
私にはこの漫画は「咲野の漫画」と言ってもいいほど、彼女の印象が強く残っているんです。。

彼女は貞淑で、健気で、おっとりとして優しく、それでいてしっかり者という、まさに非の打ち所のない女性です。
夫が新婚初夜に家から逃げて売春宿に行ってしまっても、それが原因で夫の親類に「生娘じゃない」などという品のない疑いをかけられても(こういう田舎の旧家の陰湿さって嫌~)、自堕落な夫と舅(後に野垂れ死にしたらしい)のせいで破産して、故郷を逃げ出すはめになっても、決して夫を責めず怒らず、母のような優しさと芯の強さで、山頭火を包み込むのです。。
ちょうど、パール・バックの「大地」に出てくる、主人公の正妻阿蘭を、明るく朗らかにして美人にしたような女性です。
故郷から夜逃げするとき、本当は親兄弟や友人や、慣れ親しんだ土地から離れねばならないのがつらく悲しくてたまらないのに、夫や子供の前では無理して笑顔を向ける咲野・・(泣)。

気弱な山頭火は破産して借金取りに詰め寄られたとき、「いくらで咲野を買うてくれるかのう」と、泣き震えながら自分だけ逃げようと懇願したり、彼女が一人働いてやっと出来たわずかなお金を、酒や女に散財してしまいます・・。
読んでいると、あまりにも咲野が健気で可哀想で、山頭火の行動には何度もハラワタ煮えくり返り、「早く別れてしまえ~!」と何度も願いました(苦笑)。

見かねた彼女の兄は、咲野に離婚を勧めますが(そりゃ当然でしょう)、彼女は「いくら兄様でも、夫を悪く言うことは許しませんよ」と一度はつっぱねます。

一人働いて、働きつかれて彼女はとうとう倒れ、高熱を出してしまいます。
彼女の兄は、「お前が熱を出して苦しんでいるとき、あの男はお前が働いたお金で遊女と遊んでいたんだよ」と、また離婚を勧めます。

そして、兄は、身内ならではの、残酷な言葉を吐くのです。。

「お前は優しい、良い妻だ。だがその優しさが、あの男を甘やかした。
お前の優しさが、かえってあの男を駄目にしたのではないのか」
(コミックが今手元にないのですが、確かこんな言葉だったと。。。)

それでも山頭火を愛し、一人頑張ってきた咲野にとっては、あまりにも残酷な言葉。。

でもこれは真実かもしれないです。
優しい妻が必ずしも良い伴侶になりうるとは、限りません
逆に世間に気の強い、いわゆる「悪妻」と言われる人でも、夫を成功させ、かつ夫婦仲も良いという人の例は、結構思い当たります。

夫婦って、結局、「相性」ではないでしょうか。

咲野のような女性には、もっとの包容力のある、しっかりした男性のほうが、そして山頭火のような男には、もっと自立心のある、勝気な女のほうがあっていたのではないでしょうか・・?
・・早々に見捨てられてるかもしれないけど。。(笑)。

でも言えることは・・、結婚したのが咲野でなければ、山頭火は放浪の身になることなど許されなかったかもしれない。
咲野の存在なくしては、後世に名を残す、俳人「種田山頭火」は生まれなかったでしょう。
まっすぐな道でさみしい―種田山頭火外伝 (1) まっすぐな道でさみしい―種田山頭火外伝 (1)
いわしげ 孝 (2003/07/23)
講談社

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ミッシェルおじさん

向田邦子のエッセイに、こんな話が載っていました。
「荒城の月」の歌詞、「めぐる盃 かげさして」を、向田さんは長いこと、「眠る盃」と誤解していたと。。
ぐうぐう寝てる、小さな盃・・・。落城の悲壮な歌が、一気にメルヘンになってしまいますね(笑)。

でも、歌詞の聞き間違い、覚え間違いって、結構身に覚えがありませんか?

私の場合は、「およげたいやきくん」です。

「ある朝 ぼくは 店のおじさんと けんかして」のところを、私は

「ある朝 ぼくは ミッシェルおじさんと けんかして」

だと、思っておりました。

うんうん。フランス人って高飛車だっていうもんね。よく知らないけど。。

小学生のとき、ずっと「ミッシェルおじさん」と歌っていましたが、誰からも突っ込まれなかったです(笑)。
真実を知ったのは、息子と一緒に、「おかあさんといっしょ」を見てからでした(汗)。

もう一つ、あります。

お若い方はご存じないかと思われますが、ばんばひろふみ?の「いちご白書をもう一度」という曲です。
フォークソング全盛期の、ちょっと寂しい旋律の曲ですが、

「就職が 決まって 髪を切ってきたとき もう 若くないさと 君に言い訳したね」

のところを、私は

「就職が 決まって 髪を切ってきたとき もう落第さと 君に言い訳したね」

だと思っておりました。

せっかく就職先が決まって、将来の生活設計を立てることが出来て、彼女との交際も結婚に向けて
順調!かと思われたのに・・、大学を落第して卒業できなくなって、就職の話も将来の生活設計もおじゃんに。
・・それで彼女にお詫びとして頭を丸め、言い訳したのか、・・・にもかかわらず振られてしまったのね。

などと勝手に解釈しておりました。

そういえば当時は、男の長髪って珍しくなかったですね(汗)。

ついでに、歌のタイトルも、「いちごハクションをもう一度」だと思ってました。

いちごハクション・・・、どんなくしゃみだ???

何とかならんか。歩きタバコ。

タバコは、「百害あって一利なし」といえど、そこは自己責任。
喫煙場所に定められた所で、大人しく吸っている人や、ベランダに出て吸っている「ホタル族」のお父さん方にまで、石を投げるつもりはないです。

しか~し、歩きタバコ!これだけは許しがたい。

人通りのない、田舎の農道などで、プカプカするのはかまわないけど、この辺りの歩道は、狭い上に人通りが激しい。
人が三人、横になって歩いてたら、それでいっぱいいっぱいなんですよ。

今日、2歳になる長女をベビーカーに乗せて、散歩していたんです。

そしたら、向うから、2人連れの、金髪の若いオニイチャンが、だらしない格好をして(私にはそうとしか思えない)、下手くそなラップソングを歌いながら、やってきたんです。

一人の手には、タバコが。。。オニイちゃん、どう見ても未成年では???

私はベビーカーを、道の端のガードレールにぴったり付けるようにして、その2人を避けました。

「マッポに捕まって、ネンショー入って♪」・・・(なんちゅう歌じゃ!)

変なラップを歌いながら、私たちなど目に入っていない様子で、その2人は通り過ぎました・・。

あ~あ、行った行った。大人のオバサンとしては、一言注意したいけど、仕返しされたら怖いもんね・・とほっとしていたら、娘が突然泣き出すではありませんか。

・・見ると、タバコの灰が、娘の腕にかかっていたんです。

タバコの灰って、歩きながらだと、結構飛ぶんですよ。まして今日は風が強かった。
その上、大人がタバコを持つ腕を垂らしていると、ちょうどその高さが、ベビーカーに乗っている赤ちゃんの顔の辺りの高さと同じになるんです。

幸いにも、娘はやけどをしていませんでした。一瞬だけ熱い思いをしたようですが・・、すぐに払いのけましたので。。

しかし、歩きタバコの灰が、赤ちゃんの目に入って大事になった、という話も聞いたことがあります。

愛煙家の皆さん、タバコを吸うなとは言いません。せめて最低限のマナーは守ってください。

出来ればここでも、千代田区のように、歩きタバコ禁止令を出して欲しいです。。

「秘密」映画化。

今月から月刊誌「メロディ」で、清水玲子の「秘密」の新シリーズが始まりました。

まだ物語は序盤ですが、面白そうです♪

気になったのは、プレゼントアンケートの質問に

「秘密」が映画になったら、観に行きますか?

と、いうのがあったこと。

こういう質問が出るということは、もしかして、映画化の打診でもあったのかな・・?

あれを実写にするのは、かなりの冒険、ですよ(汗)。

むき出しの脳、むき出しの内臓・・、凄惨な殺人現場、が、かなりの頻度で出てくることになるのですから。

私が今まで見た映画の中で、一番怖かったのは「ハンニバル」。

悪役(レイ・リオッタ・・・好きな俳優なのに・・・泣)、の脳の一部を、レクター博士が取り出して、その場で調理し、何と本人に食べさせてしまう、というシーンがありました。
・・原作小説では、食べたのはクラリスだったけれど。

「うええ~~」と、ぞくぞくしながらも、あの「ハンニバル」が観られたんだから、大丈夫かな(汗)?

「秘密」が映画になるなら、もちろん、観に行きますよ。

ただ、撮るのはやはり日本の映画会社?
邦画って、たまにとんでもない駄作があるから(「源氏物語」を観に行ってがっくりきた経験あり)、慎重に・・・、検討していただきたいです。。

犬の脳を見る。

昔、ジョニーという名の、ビーグル犬を飼っていました。
「飼っているというより一緒に生活している」(だったかな?)という、某CMのキャッチコピーじゃないですが、ジョニーは私たち家族の生活の一部でした。
言葉を解さない犬といえど、お互いの機嫌の良し悪しや、大体何を考えているのかが、あうんの呼吸でわかっていました。
でも、ジョニーは9歳で、フィラリアで死にました。。
死の直前まで、父が帰宅すると、ガリガリに痩せた体で寝床から這い出してきて、出迎えていました。
今でもジョニーのことを思い出すと、愛おしさで、目が潤みます。。

清水玲子の「秘密2003」では、犬の記憶を探ることが、事件解決の重要なカギとなっています。

物語は、自分の家族全員を殺した罪に問われていた、露口浩一の死刑執行の場面から始まります。
「第九」捜査官青木は、自供と犯行が一致するかどうかを確かめるために、露口の脳をMRIスキャナーで見ることにします。
・・そこには、行方不明(遺体が出てないが、露口に殺されたと思われていた)だった、露口の娘、「絹子」が、家族を刺し殺す場面が映されていました。
家族を殺したのは娘の絹子。露口浩一は娘の罪を被っていたのです。露口は、娘の犯罪がMRI捜査で暴かれるのを恐れて、死んだ家族の頭を潰すことまでしていました。

父親の刑が執行されたと知って、雲隠れして絹子が姿を現します。
絹子は青木に、「見たのね?父の脳を?あんた達は人の家のトイレの汚物入れの中身を嗅いでまわっているようなものよ。ゲス野郎!」と挑発的な言葉を浴びせます。
一度刑が執行されてしまった以上、実は絹子こそが犯人でも、彼女は無罪放免、なのです。。

そのころ、青木は父を亡くしていました。
「お前の仕事は立派な仕事だ」と、いつでも青木を激励してきた父。だが葬儀のとき、母からこう打ち明けられるのです。
「お父さん、あんたの仕事、好かんかったと・・」と。。

青木は無力感に打ちひしがれます。人の秘密を知って、一体、どうなる?・・と。

けれど、同時期に警察で調査していた「行方不明高校生リスト」のなかに、露口の脳に映っていた、絹子の交際相手の名前があったことから、絹子逮捕につながるかもしれない、一筋の光が差し込みます。
なぜ、絹子は、家族全員を殺したのか?何か、とてつもなく大きな秘密を、家族に知られたからではないのか・・?
でもたったそれだけの証拠では、推測の域を出ず、絹子の捜査は無理かと思われました。
そのとき・・平井学という13歳の少年が「交通事故」で死亡します。
平井少年もまた、絹子と面識がありました。
青木は、平井少年の脳を見れば、重要な手がかりがあるに違いない、と、少年の家族に少年の脳を見ることを承諾してもらおうとしますが・・・、平井少年は、全盲でした。

もはや、完全に手詰まり。絹子につながる糸は全部切れた、と思ったその矢先、青木は平井少年と一緒に死んだ愛犬、ZIPの存在に気が付きます。
・・・・見るべき脳は、まだある!Zipの脳を見るのだ。
そこに絹子につながる手がかりがあるに違いない!

赤一色(犬は色盲)の、ZIPの見ていた世界は、これまで見てきたどの人間のものよりも、優しさと愛情に満ち溢れたものでした。。そして・・!

以上が大まかな筋です。絹子は、清水作品では珍しく、酷く怖ろしい女ですが、何が彼女をそこまで歪ませたのか、また何故露口浩一は、そこまで娘をかばい続けたのか、の秘密も明らかにされていきます。。

言葉を話せるはずの人間が、思いを伝えられず、誤解を受け、悪意を増幅させていくなかで、言葉を持たないZIPの、邪心のなさ、少年に対する信頼、無償の愛情に心を動かされます。
人間たちの醜さに比べて、犬の心の、何と美しいことか・・・!

この作品は、先に紹介した「夢」の話と合わせて、白泉社から「秘密ートップシークレット2」とし発売されています。
また、月刊雑誌「メロディ」で、今月28日発売の号から、「秘密」の新連載が始まります。
ご興味を持たれた方は、ぜひどうぞ。
秘密―トップ・シークレット (2)    Jets comics 秘密―トップ・シークレット (2) Jets comics
清水 玲子 (2003/05/29)
白泉社

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夢見る脳を見る。

不可思議な夢を見たことはありませんか?
いえ、もともと夢は不可思議で、脈絡のないものなのですが、予知めいたものだったり、随分長いこと会っていない人が現れたり。。
また現実世界にリンクした夢・・、火事の夢を見てたら、ホットカーペットの上でうたた寝してとか、目の前の数学のテストが全然出来なくて慌てたりとか(おばさんになった今でも見るんですよ、この手の夢)・・を見た方は多いでしょう。
一昔前は、フロイトの「夢判断」が流行りました。何でも「性的欲求不満」に強引に結論付けてしまう、アレです(笑)。
今現在、夢は脳がランダムに活動する、その副産物に過ぎない。と位置づけられ、「夢」の研究は学問として認められなくなっているそうです。

しかし、本当に夢は無意味なのでしょうか・・・?

清水玲子の「秘密2002」は、眠ったままの人間の、脳の見ていた「夢」の映像を見る、というテーマです。

犯罪に巻き込まれて命を落とした人や、凶悪犯の脳が記憶している「画」を見ることで、真実を探ることを職務とする「科学警察研究所法医第九研究室」・・略して「第九」。

この研究室に、新人研究員天地奈々子が配属されてきます。
彼女は少々天然?というか、変わった娘で、他の研究員からうるさがれてました。。
天地は、突然無断欠勤を続けるようになります。

ある日、「第九」に、臓器専用のキャリーケースが何者かから届きます。
それは、天地の脳でした・・。
「Search my body(私の体を探して)」というメッセージを添えられて・・!

天地は犯行が行われている間、眠り続けていました。

だが、その「夢」に、手掛かりがあるのではないか?
送られてきた脳は、大脳皮質のみ。生命維持に必要な脳幹と小脳は、体に残されているはずだ。
まだ天地は生きているかもしれない。

「第九」は、天地の脳を、MRIスキャナーで見ることを決意します・・・。


普通に生きていたときの天地は、よく分からない不思議系娘ですが、「夢」によって、彼女が何を考え、どう感じていたのかが・・、分かっていくんです。

ああ、職場の新人って、こういう感じだもんね。
まだ社会人になりきれていなくて、会社に馴染めないけど、意欲だけはあるし、仕事だって自分に出来ることは手伝いたい。
・・でも慣れてないからかえって失敗して、叱られたり邪険にされたりしちゃう。
そのジレンマ・・・。

会社勤めを長く続けている親友は、「天地の気持ち、よく分かる。身につまされる~」と漏らしてました。。

「秘密」によると、人の脳は死の直前になると、脳内エンドルフィンを分泌して、人を死の苦痛から解放しようとするんだそうです。。
九死に一生をえた方が、「音楽が聞こえて、なんともいえない良い気分になった」とか「お花畑がみえた」と仰るのは、このためなのでしょうね。
脳がその人を苦しませないように作り出した、現実にはない映像なのです。

天地の見た最後の夢に・・・、涙しました。
秘密―トップ・シークレット (2)    Jets comics 秘密―トップ・シークレット (2) Jets comics
清水 玲子 (2003/05/29)
白泉社

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食べられちゃうキリギリス

私のブログ名「自堕落な蟻」は、イソップ物語の「ありとキリギリス」にちなんでつけました。
ホントのありさんは、真面目で働き者なんですが、私が蟻だったら、団体行動大嫌いだし、根が怠け者だし、働いている仲間を尻目に、一日巣の中でぼ~っとしてそうだなあ、と思って(笑)。

にわか知識なんですが、イソップ物語の解釈も、時代や国によってまちまちなんですってね。

「冬になって、キリギリスさんは飢えて死にそうになった。ありさんは、キリギリスさんに食べ物を分けてあげた。キリギリスさんはこれまで遊んでばかりいた自分を反省し、ありさんに感謝した。めでたしめでたし。」
・・・というお話になっているのは、日本だけなんだそうです。

世界中ほとんどの国では、こうなっているそうです。
「冬になって食べるものがなく、キリギリスは餓死した。餓死したキリギリスさんを、ありさんは食べちゃいました。」
・・めでたし、めでたし・・???え??
す、救いようのないリアルなお話ですがな。
まさに弱肉強食。いえ、アリのほうが弱い虫だけど。

意図するものは何だろう・・?
一人一人は弱くても、団結して働けば、財は富み、強いものも倒せる・・だろうか?

ううむ。私は童話として子供に与えるなら、日本版「ありときりぎりす」のほうが良いと思うぞ。

死、深、暗。

小学校で学習する漢字の一覧表を眺めていた息子、何やらマジックでごそごそやり出した。

覗いてみたら、「死」、「深」、「暗」、という漢字を黒く塗り潰している・・・?
学習雑誌の付録だから、別にかまわないけど、何で・・・??

「ぼく、この字嫌いなの。見るのも読むのも嫌なの。この字は勉強したくないの。」

おお!息子よ、成長したな!少しは!
うんうん、「死ぬ」も「暗い」も、怖いよね。深いと、溺れそうだしね。君、5メートルしか泳げないから。

「特にね、あの字が嫌いなの。れつ(列)って漢字の、上の棒がくっついた字。あるでしょ?」

れつの上に棒・・・?何じゃそりゃ。

息子はマジックで塗り潰した箇所を指差した。

そそ、それはもしかして「死」のこと??

息子よ。死は万人に訪れるものです。一方的に、相手を誤解したまま嫌うのはやめましょうね。

息子「でもねでもね。青函トンネルの暗と深は大好き♪」

鉄ヲタ少年よ。意味分かりません。。



脳と不妊と子供の話②

脳腫瘍と聞いて、すぐに私の頭には、「死」という言葉が浮かびました。

すぐに紹介していただいた大学病院の脳外科を受診しましたが、脳外科の医師の説明によると、脳下垂体腫瘍(下垂体腺腫)は、良性の腫瘍であり、命に別状はない、とのことでした。

手術の方法は、開頭手術と、経鼻手術(鼻の穴から脳に管を通して手術)、ハーディー法(上唇の内側を切開して手術)があり、当然一番体のダメージが少ないのは経鼻法です。
欧米ではこれが一般的ですが、鼻の低い日本人はハーディー法が多いそうです。

お医者さんは、「上向いて、ちょっと鼻の穴見せて。あ、大丈夫そうだね」と仰いました。
・・・ああ、私鼻の穴大きくて、良かった。。。。

一週間の検査入院を終えた後、私は手術を受けるため再び入院しました。

私のいたのは、全国でも有名な大学病院です。
脳外科病棟には、私など問題にならないほど、重症の悪性脳腫瘍の方が多くいらっしゃいました。
人の死ななかったベッドはない、というほどです。

毎夜「痛い!痛い~!」という誰かの悲鳴が廊下に響いていました。
(聞こえてきたのは、男性の悲鳴ばかりでした。女のほうが痛みに強いというのは本当なのかな・・)

ところが皆、そんな病の中でも淡々としておられました。
自分のことより、後に残してきた家族のことを心配しておられました。

手術の日、仲良くなった同じ病室の方たちに「行ってらっしゃい!がんばって」と見送られ、手術室に入りました。麻酔医さんが丁寧に挨拶をされ、私は体に電極?のようなものをたくさん付けられました。
最後に男の看護士さんにぱっと手術衣をめくられ、胸の辺りにもそれ(電極)をつけられました。
「あ~、男の人にちち見られちゃったよ。。。」などと思いつつ、私の意識は遠のいていきました。

先生の仰るとおり、手術は5時間ほどですみました。
脳外科の先生にとっては、難しいものではなかったのでしょう。
目が覚めると、ベットの周りに、夫と、息子と、義母がいました。
(息子は私の入院中、情緒不安定になり、幼稚園を休んでばかりいました。)

ネットで経鼻手術後は顔がゆがむとか、失敗すれば半身不随になるとか、余計な知識を仕入れてはビビっていたのですが、私は先生に恵まれていたのでしょう。
顔のゆがみもなく、後遺症も軽く、順調に回復していきました。。

そんな中、同じ集中治療室で、となりのベットにいた小学6年の女の子と、親しくなりました。
やはり脳腫瘍、だったのでしょうか。大阪や名古屋の病院で手術を受けたことがあり、開頭手術はこれで3回目だと言います。

深夜その女の子は、・・寂しいのでしょう。ベットサイドの明かりを点けたまま眠り、何度もナースコールをしては看護士さんを困らせていました。
ある夜、トイレに行こうとした私は、その女の子のベッドの側を通りました。
女の子は、ひざにぬいぐるみを抱え、じっと俯いてベッドに座っていました。
もしかしたら、泣いていたのかもしれません。。
声をかけるにかけられず、そっと私はその場を去りました。。

このときの女の子の姿は、今でも私の脳裏に焼きついています。
今まで自分の目にしてきたうちで、一番悲しく寂しい光景です。
何か言葉をかけてあげるべきだったのかもしれない。でも言葉が見つかりませんでした。
女の子は私などよりもはるかに重症です。「元気出して」「がんばって」などという月並みな言葉は、いかにも偽善的で軽薄に響くに違いありません。傲慢にすら思われるかもしれません。。

私はそれまでの自分を強く恥じてました。
二人目が欲しいと願ったのは、他のお母さん友達と同じようになりたかったから。
「皆と同じ」になることに何の意味があったのだろう。
私には既に息子がいる。それなのに私はこんなザマになって、息子を悲しませている。
たった一人の子供すら、幸せな家庭、安らげる場所を作ってあげられていないのだ。。
私は何て欲張りで、傲慢だったんだろう・・。

もう子供は望むまい。と、そのときは思いました・・。

ところが、退院後2ヶ月して、何と、私は自分が妊娠しているのに気が付いたのです。
それが今2歳の長女。
長女が生まれて1年とたたないうちに、次の子を授かり、それが今5ヶ月になる二女です。

私は今3人の子に恵まれ、忙しくも楽しい日々を送っております。
脳の検査は、半年に一回受けています。取りきれなかった腫瘍がまだちょっと残っているけれど、バクダンちゃんは今のところ増殖せず、大人しくしてくれているようです。

子供に囲まれる生活は楽しい。けれど日常の幸せに慣れると、それを当たり前のように思いはじめ、傲慢になりかねません。

不妊治療に通っていたころ、私は周囲の人に「早くあんたも子供作りなよっ!」と言われて、・・・瞬間的にですが、殺意にも似た怒りを持ちました。
悪気のない言葉・・「お宅は子供一人でいいわね~!うちは4人だから大騒ぎよ!」などにも、傷つきました。

不妊に悩んでいる人は多いです。私の友人にも子供のない夫婦が結構います。

自分のことばかり考えていると・・、相手の立場に立って相手を思いやる気持ちを持たないと、知らず知らずのうちに、自分も無神経な、心無い言葉を吐いてしまうのかもしれません。

私自身が傲慢な人間にならないために、私はこの先決して、あの当時のことを忘れまい、と、思っています。

今日はちょっと暗いですね(汗)。すみません。。。

狂人の脳を見る。

テレビで酷い事件のニュースなどを見ると、「こういう犯罪を犯す犯人は、いったいどんな頭の構造をしているんだろう」と思うことがあります。

コメンテーターや心理学者などが、親の溺愛が原因だとか、母親の死が原因だとか、逆に幼児のころ十分な愛情を受けなかったのがいけないとか、厳しく育てられすぎたのがいけないとか、はたまたゲームや残酷な映画を見たのがいけなかったとか、侃々諤々ですけれど、それは結局「後出しジャンケン」じゃないかと思うのです。
親に愛されたことで、心に余裕を持った大人になる人もいるだろうし、親の死にあっても強くまっとうに育つ人の人が圧倒的に多いでしょう。
厳しく育てられたことで、萎縮した大人になる人もいれば、かえって人に対して思いやりのある人になるひともいるでしょう。
自分を育てるのは、結局は自分自身です。親などの環境はその手助けをしているに過ぎません。
こういうコメンテーターは、つまり「もとは凶悪犯も普通の善良な人間だった」といいたいのかな・・・?

閑話休題。

清水玲子の「秘密2001」は、狂人・・連続殺人犯の脳を見ることをテーマにした作品です。

この話で、「秘密」シリーズの主人公、薪警部正と、新人青木一行が初登場します。
物語は前作から五年後の設定です。警察には、異常な死を遂げた人や凶悪犯の脳をMRIスキャナーを使って見ること、その中から隠された真実を見つけること・・を職務とした「法医第九研究室」というものが存在します。

この「第九」に、28人の少年を残虐に殺した凶悪犯、貝沼の脳が持ち込まれたことに、新たな問題が生じます。
連続殺人犯貝沼の脳に記憶された映像を見た5人の捜査員は、三人が死亡、一人は発狂してしまいます。それほど強烈な、恐ろしい「画」だったのです。
薪警部は貝沼の脳を見た、最後の一人でした。
薪は貝沼の犯罪に、大きな良心の呵責を感じていました。彼は犯罪を犯す前の、善良だった?ころの貝沼に会ったことがあったのです。。

これと平行して、テレビで盛んに流れるある映像、皇室の結婚式の映像(未来の設定なのでこれも架空の皇室です)を観た10人の少年たちが、次々と自殺する、という事件が起こります。
死んだ少年たちの脳に残された映像を見ると、皆「追跡妄想」・・こういうものに追われたら怖い、と本人が感じているものに追われる。いじめっ子だった少年なら、イジメを苦にして自殺した少年の幽霊に追われる・・・によって自殺していたことがわかります。

10人の少年たちは皆、一時期同じ少年院にいたことがあり、しかも、全員あの貝沼と接触があったのです・・・・!

並行する2つの事件、薪警部正と貝沼との関わりが交錯し、息つく間もなく一気に読ませてくれます。
漫画と小説の手法の違いはありますが、宮部みゆきのミステリーや高村薫の警察小説と並べても、遜色ないのではないでしょうか。
ストーリーテラー清水玲子の本領発揮です。

作中、貝沼の記憶を見るシーンは、かなりショッキングではありますが、清水玲子の流麗な画風で救われています。

以前紹介した前作「秘密1999」と本作「秘密2001」は、白泉社から「秘密ートップシークレット1」として単行本で発売されています。
発売当初、あっという間に品切れになり、なかなか手に入らなかったといういわくつきの本です。
・・初版部数が少なかったのかな?今ではよく書店で目にします。

ご興味をもたれた方は、ぜひご一読を!
秘密―トップ・シークレット (1) 秘密―トップ・シークレット (1)
清水 玲子 (2001/12)
白泉社

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死者の記憶を見る。

人は、自分の過去の記憶を、脳の中で知らず知らずのうちに編集しているといいいます。
以前深夜に放送されていたテレビで観たのですが、40歳以上の男女に、自分の記憶に残っている10才ぐらいまでの出来事を書き出してもらい、それを「楽しかったこと」、「悲しかったこと」「そのどちらでもないこと」に大まかに分類してもらう、そうすると、ほとんどが5:3:1の比率になるんだそうです。
これはまあ、大雑把な話ですが。

芥川龍之介の「藪の中」は、ある一つの事件に対する、当事者たちの状況説明や言い分が皆食い違っていて、事実が曖昧に(藪の中に)なってしまう話ですが、これなどはまさに皆が「自分は悪くない」という方向に、記憶を編集していった結果の産物ではないかと、私は思うのです。

身近な話では、昔自分が好意を持っていた、カッコ良かったはずの少年が、今当時の写真を見てみると、どうと言うことのない平凡な人だったりしたことは、ありませんか・・?
人は自分が好感を持っていたものは、頭の中で美化しているのです。

清水玲子の「記憶」は、「死者の記憶を読む」ことをテーマにした連作です。
一作目の「秘密1999」では、アメリカ大統領(未来の設定ですから、架空の人物です)が、突然何者かに暗殺されてしまう場面から始まります。
怪しい人物を見たものは誰もいません。また大統領は清廉潔白な聖職者のような人物で、恨みをかわれるようなことは何一つ思い当たりません。
真実を知っているのは、死んだ大統領、ただ一人。。

警察はMRIスキャナーを使って、死んだ大統領の脳に残された「記憶」の映像を見ることで、犯人を見つけ出そうとします。
日常の行動の記憶のみならず、大統領のプライベートな記憶、入浴中、トイレの中・・での記憶まで衆人の目にさらされてしまいます。

大統領の、記憶に残る映像は・・、娘は実物以上に可愛くあどけなく映り(これは世のお父さん方は皆そうかもしれませんね)、周囲の人たちも実際よりも善良そうに映っていて、まさに聖人のようだという大統領の人柄を裏付けるものでした。

けれど、・・・とうとう、大統領が、命を懸けてまで隠し通したかった秘密が、暴かれてしまうのです。

人に記憶を覗かれるのは・・、怖いです。
大統領が本当に気の毒。。
誰にでも心に隠し持っておきたい秘密の一つや二つ、あるだろうに。。。

現在「秘密」は4作発表されており、これはその第一作目です。
続けて、続編の話を取り上げたいと思います。
秘密―トップ・シークレット (1) 秘密―トップ・シークレット (1)
清水 玲子 (2001/12)
白泉社

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脳と不妊と子供の話①

私は一人目の子供を結婚早々に授かって以来、ずっと子供を授かりませんでした。
一人目は男の子だったので、周囲からの「跡継ぎ」催促は受けずにすんでいたのですが、それでも「二人目は?」と言われ続けていたし、自分も一人っ子よりは息子にも兄弟がいたほうがいいだろう、ぐらいの気持ちで、気軽に不妊治療を始めました。

検査の結果、私は「高プロラクチン血症」というものでした。
ストレスなどからホルモンのバランスがガタガタになり、プロラクチンという母乳を生成するホルモンが大量に分泌される、すると体がいつも出産直後のような状態になり、妊娠しにくくなる、というものです。

確かに当時の私はストレスを多く抱えていました。
でもそういった精神衛生上の問題なら、いずれ改善されるかもしれない、と病院に通い続けました。

でも・・、通院して何度検査を繰り返しても、ホルモン注射を受けても投薬治療を受けても、症状は改善されませんでした。

医師はさじを投げたのか?不妊治療を専門にしている有名な病院(たまにテレビでその医師を見ます)を紹介してくれました。

素直にその新しい医師のもとにしばらく通っておりましたが、その医師はある時、私にこう言いました。

「あなた、全然だめだね。ホルモン全然出てないよ」

先生としては別段悪気はなく、それが普段の彼の物言いなのでしょう。
関東の・・特に生粋の江戸っ子というのは、時々べらんめえ調というか、キツイ物言いをする方がたまにおられます。

でも、不妊の相談を、しかも男の先生にする、というのはかなり勇気のいることでしたし、そのとき私はかなりナーバスになっていたので、ひどく落ち込み、そのままその病院へは行かなくなりました。

もう息子一人を大切に育てていけば、一人っ子でもいいかな、と思えてきていました。

・・しかしそれから2年後、息子が幼稚園に入園したころから、体に異変が生じました。
まず、ひどいめまい。立ちくらみとは違い、夜寝ていると体が沈み込むように感じ、天井がぐるぐる回るのです。
そして、気鬱。どうでもいいような些細なことが気になったり、自分でも自分を持て余すほど、気分が落ち込みます。
あと、母乳分泌。もちろん子供はもう5歳にもなろうとするのですから、授乳なんてしていません。
それなのに、時々胸がキーン、と張り、時にはシャワーのように母乳が出るのです。

そんなある時、私は胸にしこりが出来ているのに気が付きました。
まさか乳がん?と心配になり、息子を産んだ病院の外科外来を受診したのです。

外科でのレントゲン検査の結果、胸自体に異常はありませんでした。
軽い乳腺炎のようなものだったようです。

でも外科の先生は、「今になって母乳がそんなに出続けるのは変だね。これは滅多にないことなんだけど、頭の脳下垂体というところに腫瘍があると、ホルモンのバランスが崩れて母乳が出ることがあるんだよ。念のため、検査してみますか?」と仰いました。

滅多にないこと、念のため、とのお言葉でしたので、私も軽い気持ちでMRI検査を受けることにしたのです。

・・結果は、「クロ」でした。
私の脳には、1センチほどの腫瘍があったのです。

博士の愛した数式

第一回本屋大賞(そんなのあったのか)、及び読売文学賞を受賞した小川洋子氏の作品です。
2003年度の「泣ける本」ベスト1だそうです。

「泣ける」「感動する」とやたらに煽られると、へそまがりの私はかえって引くのですが、小川洋子という著者名に惹かれて、試しに買ってみました。

「冷めない紅茶」「妊娠カレンダー」といった小説を読んだことがありますが、小川さんは、冷徹ともいえる観察眼と、独特な毒を内に秘めた方だという印象を持っていました。
この人の書くものが、巷に溢れる安易な「泣き小説」のわけがない、と。

家政婦を生業としている「私」は、ある上品な老婦人の元へ派遣されます。
仕事は老婦人の、離れに住む「義弟(夫の弟)」の世話をすること。そして離れのトラブルをこちら(母屋)に決して持ち込まないこと。
義弟・・もと数学博士だったという老人は、30年前に遭った交通事故で脳に損傷を受け、記憶が80分しかもたない病気でした。

はじめ気難しいかと思えた博士は、実は内気で、会話の糸口を数字に頼ります。
無理もない。博士にとっては毎日顔をあわせているはずの「私」も、初対面の人なのです。

「君の靴のサイズはいくつかね」
「24です」
「ほお。実に潔い数字だ。4の階乗だ」
毎朝通ってくる「私」に、博士は会話の糸口をつかもうと、毎日同じ質問を繰り返すのです。

でも、「私」の子供ルート(頭の形が√だから)が博士の家に来るようになってから、博士の態度はどんどん穏やかで優しいものになっていきます。

博士はたびたび数学がどれほど美しいかを話し、数学の神様を称えます。
「算数」レベルの問題で四苦八苦するルートと「私」を楽しそうに見守り、解けたときには最大の賛辞を惜しみません。

また3人は無類の阪神ファン。でも博士の「阪神」は30年前で止まっているので、江夏がもはや現役ではないと知って落胆したりします。翌朝には忘れているけれども。。

でもやがて、博士の「80分テープの記憶」すらも徐々に壊れていき・・。

未読の方に差しさわりのないように、大体のあらすじを説明するとこんな感じです。上手く書けませんでしたが。。

一読して、あの小川洋子さんは、こんなに優しい小説が書けたのか、と驚きました。
読み進むごとに、温かい心持ちになり、ヨボヨボの老人の博士がいとおしく感じられてきます。

博士が随所で開陳する数学の薀蓄も面白い。
子供のときにこんな先生がいたら、私も数学が好きになっただろうに・・(笑)。

ただ、博士と義姉の関係には、「やっぱりなあ」と思いました。それだけはちょっと興ざめでした。

終わり近く、大人になったルートと博士がキャッチボールをするくだりは、まるで映画を観ているように、そのシーンが頭に浮かびました。。

この本は決して安易な「泣ける」小説ではありません。
上手く言えませんが、幸福感で胸がいっぱいになり、目がじんわり潤んでくるのです。。
さすがは、小川洋子。

ところで、博士の愛した江夏豊さんはこの小説読んだかな・・・?
博士の愛した数式 博士の愛した数式
小川 洋子 (2005/11/26)
新潮社

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我が恋せしマッチョマン。

私は映画が大好きです。最近は滅多に劇場へ行けませんが・・。
身軽な独身時代は、栃木の田舎からせっせと有楽町へ通い、劇場公開作品はほとんと観ておりました。

私が映画好きになったきっかけは、20歳のころ、アクション俳優のドルフ・ラングレンに出会ってからです。

今、ドルフ・ラングレンといっても、一体どれほどの方がご存知でしょうか・・・?
この10年ほどヒット作がなく、新作が出てもビデオ発売のみとなっております(泣)。

彼が世に出たのは、シルベスター・スタローン主演の「ロッキー4」で、(今はなき)敵方のソ連人ボクサー、イワン・ドラゴ役ででした。
この「ロッキー4」というのは、まさにアメリカン・ムービー、善悪がきっぱり別れ、ヒーロー(ロッキー)が悪人(ロシア人ドラゴ)をやっつけるという、単純明快な映画です。
さっぱりすっきり、爽快な気分になるだけで(私はドラちゃんのほうが好きだから、もやもやが残るけどな)観た後な~んも心に残りません。
よく言えば分かりやすい売れ筋映画、悪く言えば駄作、馬鹿映画です。。

続いてドルフは「マスターズ(ゴルフ映画じゃないよ)」「レッド・スコルピオン」、「パニッシャー」と映画に出続けましたが、大きなヒット作がありませんでした。。

いいんです。売れなくたって。

ドルフが好きというと、まず「変わった趣味で。。。」と言われます。
いいんです。変と言われたって。。

ドルフは身長198センチ、100キロ超の筋肉マンです。見かけだけでなく、本当に強いそうです。
世界空手選手権で準優勝したこともあるんですから。

「ロッキー4」の撮影中に、ちょっと本気で殴ったら、スタローンが病院送りになったんだそうで。。。

ロッキーでの彼は、無口で不気味で、やたら強そうで(映画のストーリー上わざと負けするけどな)、ものすごく近寄りがたそうなオーラを発しています。
でも、何というか、綺麗、なんですよ~。マッチョマンを美しいと思ったのは初めてでした。
それに時折、幼いというか、あどけない表情を見せるんです・・(私が画面の隅っこのドルフばっかり目で追っていたせいもある)。
マッチョマンを「可愛い~!」と思ったのは、初めてでした。

勧善懲悪ムービーの「ロッキー4」を、「コラァ!ブリジット・ニールセン!ドルちゃんにベタベタ触るんじゃない!自分の旦那はそこにいるだろうが(ドルフの妻役は、スタローンの奥さんになった)」、などと吠えながら、悪役ドラちゃんに入れ込んで見ておりました(笑)。。

そして次の劇場公開映画「レッド・スコルピオン」。
これは、まあまあの中ヒットだったと思われますが、評判は良くありませんでした。
内容はやっぱりアメリカ映画。極悪非道だったロシア人の特殊部隊の男が、あるアフリカの小国のレジスタンス運動家の暗殺の殺害を命じられますが失敗し、罰として殺されそうになって逃亡、途中コイサンマン(ブッシュマンというのは差別用語らしいですな)に出会ったりして改心し、逆にレジスタンス側に加わってロシア軍を攻撃する・・、という書いていて恥ずかしくなるような簡単な筋です。。

でもでも、コイサンマンと一緒に砂漠を歩いているとき、彼が初めて笑顔を見せるんですよ。
童顔と言ってもいいほど、子供っぽい顔で・・・!

あの時、ワタシはドルフに惚れました(照)!
強く気位の高そうな男に、優しげな一面を見せられると、直ちに惚れます。
(これって、や○ざとかホストに入れ込んじゃう人の理由と同じ?もしかして・・汗)

「ドルフ・ラングレンって大男総身に知恵が回りかねた感じで、アタマ悪そう」などと当時よく叩かれましたが、何をおっしゃいます!!
ドルフ・ラングレンは4つの大学の学位を持ち、MITにも通ったことのある(卒業はしてないらしい)、超秀才なんですぞ!お茶の水博士の後輩なんですぞ!
大体アクションスターに知性なぞ、必要ないんじゃ~(暴論)!!

ドルフの話の続きは、また次回に(誰が読んでくれるんだろう?)。。。
レッド・スコルピオン レッド・スコルピオン
ドルフ・ラングレン (2001/08/24)
ビデオメーカー

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最凶の恋愛小説

親友が新堂冬樹氏の小説の愛読者です。
私には今まで「無間地獄」の人、という印象しかありませんでしたが、この方は純愛小説あり、動物ものありで、実に多彩な作品を書いていらっしゃるそうですね。
この本は、週刊文春の書評が面白かったので、読んでみたくなったんです。

「吐きたいほど愛してる」
4編の短編からなっていますが、もちろんまともな恋愛小説なんて一つもありません。
自己愛の強い妄想癖のある男、被害妄想で衰弱していく女、などが「自分にとっての愛」のために、「そこまでやるか?」と言いたくなるほど、残虐な手段で、残酷な結末に向かっていくんです。
グロい小説とは聞いていましたが、これほどとは・・・(汗)。
著者自身も「読んでいて気持ちが悪くなった」とおっしゃったとかおっしゃらないとか。

まだ書店に平積みになっているようですから、あまりネタバレはいたしませんが、これほど醜悪で残虐な小説を、私は読んだことがありません。

しかし、「面白い!」というのとは違いますが、この作者は読者を引き込むのが巧いです。
「やだ~!!」「気色悪い~!」と思いつつも、ページをめくる手を止められないのです。
これはやはり作者の力量なのでしょう。
一気に読み終わった後、疲労感と食欲不振が残りました(笑)。
うう。。。肉ウジチャーハン。。。。おええ。。

新堂冬樹さんって、今は企業コンサルタントの社長も兼ねていらっしゃるそうです。
でも昔は、闇金にいたこともあるとか聞きました。じ、人生経験豊かなんですね・・(汗)。

この小説を読んだ後では、新堂氏の純愛ものを読んでも、「ものすごく怖い展開になるに違いない」
「そのうち腐乱死体や鮮血や肉ウジチャーハンが出てくるに違いない・・・」とビクビクしてしまいそうです(苦笑)。

確かに読みがいのある本ではありました。
でも私はこの本が本棚にあるのも怖くて、先に述べた新堂ファンの友人にあげちゃいました。。

グロい小説の好きな方(?)には、おすすめ・・・です。。
吐きたいほど愛してる。 吐きたいほど愛してる。
新堂 冬樹 (2005/01/20)
新潮社

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「溺れる人」を称える。

3月に放映された篠原涼子さん主演のドラマ、「溺れる人」がとても良かったので、原作の藤崎麻里「溺れる人」も買ってみました。
でも原作は短編だったんですね。一般人からドキュメンタリー作品を公募した「ウーマンズ・ビート賞」というものの大賞入選作品だったそうで、単行本には他の4本の入選作品も併録されているんです。

「溺れる人」、原作も良かったです。
他の入選作品とは比べるべくもない。群を抜いています。

何故なら、他の作品は、概ね「自分賛歌」なんです。
確かに波乱万丈の人生を送っていたり、凡人には出来ないことにトライしていて、「記録」としては面白いのかもしれませんが、「読み物」としてはあまりにキレイゴト過ぎています。
自分の内面や周囲の醜い面、あるいは苦しみから、故意に目をそむけているようにも思えます。
無理もないかもしれません。だって一般人の、「普通の人」の書いたドキュメンタリーなんですから。
書きにくいことも多いのでしょう。
それはこの手の素人作品の限界かもしれません。。

しかし、それでは読み物作品として面白くないのです。

藤崎麻里さんの「溺れる人」は、他の作品とは大きく趣を異にしています。

何不自由なく育ったはずの女性が、アルコール中毒に陥る。
飲み会でもただ一人、ものすごいピッチで飲むようになる。前後不覚になり、しまいに意識をなくす(ブラックアウトというらしい)。汚物にまみれたトイレで目覚める。
酒をやめようと決意しても、手に震えが来る。幻覚を見る。
そしてまた酒に手を伸ばし、以前よりもいっそう酒量が増える。
あげくに、酔っ払って車を運転するようにまでなる(ドラマでは省かれてましたね、やっぱり)。

これでもか、というほど、主人公の醜態が描かれ、彼女の苦しさと自己嫌悪が、読み手にも痛いほど伝わってくる。
この人は、自分の醜さから目をそむけていないのです。

他の4作品は自己肯定、「溺れる人」は懺悔の記録だという感想を書いていらっしゃる方がおられましたが、まさにその通りだと思います。

読み手として、どちらの作品が心に残るかといえば、答えは明らかです。

もし、「溺れる人」が、「私はこんなに努力して、アル中を克服しました」のような、前向き(?)な、自己讃美の作品だったら、他の入選作と同じように、つまらないものになったかもしれません。

自分を賛美しなかった、藤崎麻里さんを称えたいです。
溺れる人―第3回Woman’s Beat大賞受賞作品集 溺れる人―第3回Woman’s Beat大賞受賞作品集
藤崎 麻里、高橋 和子 他 (2005/02)
中央公論新社

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漫画と歴史とマッチョ俳優と。

ふと思い立って、ブログを開設してみました!よく分かりませんが見よう見まねで・・(笑)。

私は物事に執着する性質なのか(オタク体質・・とは言わないでおく)、何かを好きになったらとことんのめり込んでしまうタイプの人間です。
そしてこの20年ほど、のめりこんでいるものの一つは、漫画家の清水玲子先生。
10代の頃、清水さんの初期作品「ミルキーウェイ」を読んで以来、彼女の作品の大ファンです。
ヤフー掲示板の「漫画家」カテゴリーに、「清水玲子先生のファンの方、いらっしゃいませ」というトピックがあるのを、もしかしたら清水ファンの方はご覧になったことがおありかもしれません。
あのトピックは、私が6年前パソコン覚えたてのころ、何も分からないまま大胆にも作ってしまったトピックです(汗)。
ヤフー掲示板のトピックは、ご存知のとおり、新しい書き込みがなければ消えていくシステムです。
なのに管理人は自他共に認める怠け者で、あまり書き込みしていないにもかかわらず、物腰の柔らかい清水ファンの方々のおかげで6年長きにわたりトピックは続いております。
この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。

もう一つ、私の執着しているのは、戦国女性の淀殿です。
一般的に悪女のイメージが強く、テレビドラマではまず良くは描かれている彼女を観たことはありません。
ですが私は子供のころから、逆境に昂然と立ち向かう彼女の姿に、憧憬とシンパシーを抱いてきました。
現在に伝えられる彼女の「悪女ぶり」を示すエピソードは、ほとんどが江戸中期~後期に作られた俗書の類によるものです。
私は歴史研究に関してはズブの素人ではありますが、素人なりに彼女については長いこと調べてまいりました。
淀殿について語りだすと、止まりません(笑)。いずれ彼女のHPを作りたいと思っています(誰が見てくれるんだろう・・・苦笑)。

あと一つ。。。俳優のドルフ・ラングレンが好きです。
どなたもご存知ないかも(汗)。20年前は結構有名だったんだけどなあ。。
5年前空手の世界大会のために来日したときに、ご本人にサインしてもらって、あまつさえ肩をポンポン!としてもらいました。ツーショットもしてもらいました(赤面)。。。
映画では悪役のイメージだけれど、穏やかで優しげな人でしたよ。