三毛犬ジョニーへの伝言

旧「自堕落な蟻」 ブログ名変えました。ジョニーは昔飼っていた可愛いビーグルの名前です。

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違うんだ~!

先日小学4年生の息子が、あげたばかりのお小遣いを使い果たした上に、

「小田急線のBトレインショーティ(鉄道模型のおもちゃです)が欲しいな~」

と、ぬかしました。

「もっとお小遣いは計画的に使いなさい!うちにはそんなお金はないの。」

と、即刻却下しました。

・・とまあ、ここまではいつものこと(汗)。


息子の小学校では、文章力を養うためにか、日記を学校で書かされるそうです。

ある程度数がまとまり、先生の添削を受けると、小冊子にしてもらって持ち帰ってきます。

何の気なしに、息子の机を見てみると、その冊子が置いてありました。

早速ぱらぱらとめくってみました。

・・・すると!!


「○月○日

お母さんは僕に10円も5円もくれません。
お母さんは、うちは貧乏なんだといいました。
本当にうちは貧乏なんだろうか。
おもちゃ、返したほうがいいのかな。
ゆりちゃんやまりちゃんのおもちゃはどうするんだろう。
貧乏になって、ごはんもこれからなくなるのかな。

今日学校で、余った大根をもらいました(注:調理実習のようなことをやったらしい)
やった!これでおかあさんがたくあんを作ってくれる。
たくあんごはん、楽しみです。


息子よ息子よ。

お前が持って帰ってきたのは、大根の「葉」!!!だ!

はっぱでたくあんが作れるか!

たくあんごはん・・って、お前は「おしん」か?!

やめて~!

いくらなんでもそこまでうちは赤貧じゃないぞ(恥)。


上の日記に対する先生のコメント

「大根、美味しかったですか?」

・・先生もコメント投げてるし(爆)。
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「ララピポ」奥田英郎

知らなかったんです。
知らなかったんです。こんな本だなんて。
ただ、全作品を読破しつつある奥田英朗さんの小説で、唯一この本だけが、図書館にも書店にも見当たらなかったから、ネットで注文してみただけなんです。

購入画面でちょこっとこの本のカバーを見たんですけど、遠目には幼い女の子の絵のように見えませんか?
そして「ララピポ」というタイトル、メルヘンぽくないですか?

しかし・・この本をメルヘンと言うのは、「羊たちの沈黙」をほのぼの動物映画だというぐらい、ズレておりました。。

届いた本を見てみると・・、まず帯に

「いや~ん、お下劣。」
※紳士淑女のみなさまにはお勧めできません(作者)。


そして表紙。
黒いカバーの上部だけ、鍵穴のかたちにくり抜いてあるんです。
幼い女の子と思ったのは、鍵穴から覗く絵だったんです。

・・その黒いカバーを外してみたら・・・・(絶句)!

図書館にこの本が見当たらなかった訳が分かりました。。
図書館の本って、カバーを外してビニールコーティングするじゃないですか。
この内表紙を堂々と表に出したら・・・、えらいことです(滝汗)。





まあ、何ですか。
30後半のおばさんが照れているのも見苦しいのでお話しますが、
この本は・・・

ええと、ええと
生命の誕生に関わる問題と言いましょうか、人間の本能の問題と言いましょうか・・、

早い話が

セックスしか頭にない、どうしようもない底辺の人間たちの、短編集です(爆死)。

それぞれが独立した物語ではなく、微妙に他のお話とリンクしています。


・上の階にすむ若い男の情事を盗み聞きすることに夢中になる、高学歴でプライドばかり高い(そして仕事のない)フリーライターの話。

・23歳のキャバクラ嬢(他にも風俗関係いろいろ)のスカウトマンのお話。

・セックス中毒?になってしまった「ゴミ屋敷」の43歳主婦の話。

・バイト先のカラオケ店を、脅されるままに売春宿化させてしまう26歳の気弱な店員の話。

・文芸志向はあれども、実力の伴わない、中年の官能作家の話。

・体重90キロのテープリライター(依頼主は上の官能作家)、玉木小百合の話。

いやほんと、皆どうしようもない。
何でそんなにアホなんだ?

でも・・・、面白いんです。笑えるんです。

特に最後の、玉木小百合の話。
この人の人物造形が素晴らしい!
一番笑いました。
・・決して彼女の体型に親近感を抱いたわけでは・・(汗)。

しょ~もない「負け組」の人間達の、地を這うが如き物語。

でも、それを見る作者の目は、徹底して温かく優しい。

後味も悪くないです。

はじめ引き気味だった私も、読み始めると楽しくて止まりませんでした。
結局3時間ほどで、一気に読了しました。

タイトルの「ララピポ」の秘密は、最後の短編に出てきます。

奥田さん、タイトルつけるの、巧いなあ。。
ララピポ ララピポ
奥田 英朗 (2005/09)
幻冬舎

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「手紙」東野圭吾

もう数年前のことになりますが、近所で幼い女の子が殺されるという、悲惨な事件がありました。

当時は毎日のようにテレビで報道され、公園にもワイドショーのスタッフが張り付いていたりして、かなり騒々しかったのを覚えています。

その後、私はこんな噂を息子の同級生のお母さんから、聞いたのです。

「加害者の子供が○○小学校に入学するというので、その小学校に入学する予定だった子供の父兄が動揺している」というのです。

そのとき私は、哀れな加害者の子供達に同情しました。

悪いのはその母親なのに、なぜその子供たちまで白眼視されなければいけないのか、と。

でも、私はもしその子たちが、息子とおなじ学校に通い、あまつさえ友達になり、親しくうちに遊びに来るようにもなったら・・、果たして自然に振舞うことが出来るのだろうか、とも今になれば思うのです。


「手紙」

親を亡くし、たった二人だけになってしまった兄弟。

兄は弟の大学費用を手に入れるために、資産家の老婦人の家に忍び入り、強盗殺人事件を起こしてしまう。

兄は15年の実刑判決を受ける。

塀の中の人となった兄は、ただ一人の肉親の弟に、毎月毎月、手紙を出す。

それを心の拠り所にしている。

だが、残された弟には「殺人犯の弟」として、世間の容赦ない白眼視を浴びることになる。

アパートは追い出され、友人は離れ、就職、恋人、バンド・・弟の手に入るかと思われた小さな幸福の数々が、全て「殺人犯の弟」であることから、彼の手をすり抜けていく。


誰も、表だって弟、直貴を侮蔑したりはしない。
直貴には罪はない、そのことは誰も分かっている。

だが、正直皆、「かかわりたくない」のだ。
自分達の穏やかな生活に、波風を立てられたくないのだ。

作中に出てくる、善良な人々(高校教師や、エスニックレストランの店主)は、直貴に同情しつつも、「自分ではない誰か」が、彼の力になってくれないかと思っている。


就職先の社長は言う。

「差別はね、なくならないんだよ。
われわれは君の事を差別しなきゃならないんだ。
自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる、全ての犯罪者にそう思い知らせるためにもね」



この人の言葉は、冷酷だけれど的を射ていたかもしれないです。。


「手紙」は、ミステリーとは違い、重かったです。

東野さんは問題提起はしても、答えを出さず、話を締めくくっています。

安易なオチなど、つけないところが、またいいです。


「泣ける」「号泣した」という評判を聞いていたので、ヒネクレ者の私は「泣かないぞ」と思いつつも・・、終盤、慰問コンサートで兄弟が再会するシーンでは、やはり涙が出ました。


直貴には、それでも、由美子という理解者、寺尾という心優しい親友、社長という助言者がいました。


あの犯人の子供達も、思い十字架を背負って成長しなければならないのかもしれない。

せめて由美子や寺尾のような、良き配偶者、良き友人に恵まれますように。
手紙 手紙
東野 圭吾 (2003/03)
毎日新聞社

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「マドンナ」奥田英郎

奥田英朗氏の、サラリーマンものの短編集です。

初めて読んだ奥田作品がこれなら、

「ふうん、読みやすくて、結構鋭くて、面白いじゃない」

と、思ったかもしれません。

でも、伊良部シリーズや「最悪」「邪魔」といったシリアスものを読んだ今となっては、ちょっと肩透かしを食らったような感じを受けるのも確かです。


・若い女性の部下に、ほのかな恋心を抱く中年の課長のお話「マドンナ」

・大学進学せず、ダンサーになると言い出した息子や、わが道を行く同期に心を痛める課長の話「ダンス」。

・営業畑から総務部へ配属された課長が、総務でずっと行われてきた不正に直面する「総務は女房」。

・自分流を押し付ける女上司に、動揺し反発する「ボス」。

・「職」「遊」「住」共生型の、高級コンドミニアムのパティオ・・中庭で、一人悠々と読書する老人に、妻に先立たれ一人暮らしをしている実家の父を重ねあわせる、土地開発会社の課長の話「パティオ」。

どのお話も、読み応えはありました。


私が一番好きなのは、「パティオ」ですね。

「物欲しそうな顔をしたくない。年を取っても毅然としていたい」という老人の言葉、素敵です。

私も老いてのち、孫でもない若造に「おばあちゃん」なんて馴れ馴れしく呼ばれたくないし、侮られたくもない。独りになっていたとしても、同情されたくない。

もし自分に老後というものがあるなら、こういう老人になりたいです。


この本も、面白かったですよ。

でも私の趣味は、こういうライトな短編集より、「最悪」のようなドロドロの長編なのです(汗)。

またああいう作品を、書いて下さらないかしら。。

マドンナ マドンナ
奥田 英朗 (2005/12)
講談社

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「整形美女」姫野カオルコ

少女漫画家みたいなペンネームだなあ、と、横目で見つつも、一度も読んだことがなかった姫野カオルコさん。
たびたび直木賞候補作に名前が挙がるのが気になっていたので、先日初めて著作を読んでみました。

「整形美女」というタイトルから、私は高校生の頃読んだプリニエの「醜女の日記」を連想していました。

ぶすだけれども知的な主人公が美女に整形して、これで恋人にも愛されると思っていたら、彼女の個性的な陰影を愛していた恋人にかえって冷たくされ、絶望して電車に飛び込む。
せっかくの美しい彼女の顔はめちゃめちゃになってしまった。・・という悲しい話です。

整形をテーマにした小説だと、こうした予定調和された筋を想像してしまいます。
「作り物の顔なんて無意味」「ぶすでも自然が一番」のような。


ところが姫野カオルコさん。

のっけから驚かせてくれます。

主人公の一人、甲斐子は、「奇跡のような」美女。

彼女は、医師にこう言います。
「目を豆粒のように小さく、鼻は低く、バストは小さく、ウェストは太くして」。

それが彼女の言う、「美しい女」。

甲斐子は「美しいことと、異性に美しく思われることは違う」というのです。

完璧な美女は、ほかを照らすライトのようなもの。
異性はそのライトに照らされた、十人並みの女に目が行くようになる。

完璧な美女はパーティーの料理の真ん中に、華々しく飾られたロブスターのようなもの。
男はその周りにあるカレーや蕎麦やハムやテリーヌ、に群がり、哀れロブスターは乾燥して食べるシロモノではなくなっていく。

たまに阿呆な男がナイフとフォークを手に、ロブスターと格闘するも、盛り付けだけを汚し、ますますロブスターは立派な男から見向きもされなくなっている。。

これが甲斐子にとっての「美女の実像」だというのです。


確かに、あまりにも美しいと、異性は近寄りがたいかもしれない。

「美人よりもカワイイ子」がいい、と言いますし。

十人並みの容姿で、あまり賢すぎない女のほうが、モテるのかもしれない。

しかし、これを、甲斐子は「計画的に」やり遂げようとするのです。



もう一人の主人公、安部子は、もともと十人並みの容姿。

彼女は「整形前の甲斐子のように」、整形してしまいます。

(本当に)美しく変貌した彼女は、しかし、新たな恐怖を抱えることになります。

鼻のシリコンがずれてはいまいか。そして周囲に整形を隠すことの心苦しさ。


ところどころ、文章が哲学的というか回りくどいと言うか、読みにくいなと感じた箇所もあるのですが、
作品の随所に散りばめられた、鋭く的確かつ軽妙な言葉に驚かされました。

・「変わっている」は語彙の乏しい者が発する拒絶の言葉である。

・(甲斐子のいう、美人になるためには)
とにかく多数派の徹底模倣。
個性など無益である。個性など異端視されるもと。
個性を叫ぶ若者の多数は、髪を緑色に染めて油で逆立てても、ちょんまげは結わない。
電気ギターを弾いて歌うが、三味線で反抗の都都逸を作りはしない。

・(美女に変身した安部子の言葉)
それを隠したときから、整形は不倫になるのです。
整形は、整形の行為自体よりも、隠すというところに、人々は不正と狡猾を嗅ぎ付けるのです。
気になって仕方がなかったという低い鼻に、隆鼻術をしたと答えたジャネット・ジャクソンが前向きであると人々に嘲笑されることなく迎えられ、かたやその兄の歌手へは病人を見る様なまなざしが向けられるのは、兄が漂白手術をした皮膚を、色素の突然変異だと答えているからです。
隠すという不倫を超えて、元々白かったと信じているとすれば、もはや病気です。

などなど。枚挙に暇なし、です。


もう一つ、本作品を読んで驚いたのは・・、美容整形業界の悪辣さ!

安部子の鼻にサッカーボールが当たって、シリコンが飛び出るシーンは怖かったです。

それを「あなたの不注意でしょ」と、治療をたらいまわしにする美容外科も怖かったです。。

他にも、美容外科界の怖ろしい話が書かれていました(汗)。
ここに書かれていることは、本当なのでしょうか?
参考文献に「美容外科整形の内幕」という本が挙げられているから、やはり本当のことなのかな。

怖ろしい。
私は絶対、整形はすまい、と思いましたよ。


甲斐子の持論も、分からないではないです。

美しすぎず、お手軽そうな(に見える)女のほうが、おそらく人気があるのでしょうし、甲斐子の目指す「美女」がそのような女だというなら、十人並みに整形して、バカっぽい振りをした甲斐子は、まさに目的を果たしたのでしょう。
事実、その後甲斐子は、異性に人気が出るようになる・・のです。

しかし、それって、幸福か?

売れ残ったロブスターでも良い。
私は「奇跡のような美女」になりたかったわ。
長い足、くびれたウェストが欲しかったわ。

整形しようとまでは思わないけど。
整形美女 整形美女
姫野 カオルコ (2002/09)
新潮社

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「生きる」乙川優三郎

私はクリスチャンではないから、「自らを殺す」という選択する人全てを、否定することはしません。

気鬱のせいもあるでしょう。逃げもあるでしょう、一昔前なら自らの尊厳を守るための死もあるでしょう。

そこには、他人には窺い知れない、苦しみがあると思うのです。


ただ、殉死というもの。

これは、無益、無駄、無意味なものだと思うのです。

しかし、これは現代に生きるものの価値観でしょう。


「生きる」の主人公、又右衛門は、家老から、

「主君が亡くなっても、決して後追いするな」と命じられます。

主君が亡くなれば、恩を受けた家臣は、腹を切って当然、という価値観が支配していた時代のこと。

又右衛門にとって不運なことに、殉死禁止を命じた家老の政敵が、筆頭家老として権力を握るようになります。

主君の死後も生き続ける又右衛門は、周囲から白眼視され、娘は精神を病み、息子は父の代わりのように切腹、愛妻も夫を案じながら、亡くなってしまいます。


後に政敵は失脚し、幕府による「殉死禁止」の命が、全国に下されます。

今まで又右衛門を侮蔑していた家中のものたちは、手の裏返したように、

跡継ぎのない又右衛門に家禄目当てに養子を勧めてきたりします。

「恥知らずと言われながら62歳まで出仕したのも、役料が欲しかったわけではない。

生きて働くことで自分を支え、白眼視した連中を見返したかっただけである。

当然いただける隠居料を辞退したのは、御家のため、世間に対する意地であった。

頑陋(がんろう)でないといえば嘘になるが、頑迷でもないと又右衛門は思っている。

陋習にとらわれてきたのは自分を侮蔑した家中であって、そのくせ絶大な権力が決めたことには

従順ではないか。

物事が正しいか否かは権力の意向とは別のものであるのに、自ら判断を放棄したも同然だろう。」


権力に迎合するは、易いこと。

多数派に立って、他を非難するのは、易いこと。

逃げるように死を選ぶのは、易いこと。

しかし、自分で考え、判断したことをやりぬくのは、難しい。

この終盤の又右衛門の独白は、重いです。

凛とした又右衛門に共感すれども、どんどん苦境に追いやられていく又右衛門は悲しくてたまらなかったので・・、ラストではじんわりしました。

直木賞受賞作ですが、芥川賞向きの作品ではないかなと思いました。

あちらは新人を対象にしているようですが・・。

しかし「生きる」は純文学ではないでしょうか。

よくその辺の線引きが分からないですね。。
生きる 生きる
乙川 優三郎 (2002/01)
文藝春秋

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「邪魔」奥田英郎

またまた奥田英朗作品です。

最近はまってます(汗)。

さて、「邪魔」。

こちらも上下二段びっしりの長編です。しかし、やはり読みやすいです。

2人の子を持つ主婦、及川恭子、妻を事故でなくした刑事久野、不良高校生渡辺裕輔。

この3人が、「直視すべき、辛い事実から目をそむけたばかりに」、自体をどんどん悪化させていきます。

コンセプト自体は、「最悪」と似ているかもしれません。


ですが、この「邪魔」は・・、後味がものすごく悪かったです。


私は恭子さんに、かなり感情移入して読みました。

彼女の夫に、放火犯に容疑がかけられるのですが、

彼女にしてみたら、「もしかして、夫が犯人かも」と思っても、二人の子供の立場を考えたら、

見なかったふり、をするしかないですよね。。

気持ちは分かるんです。

でも、何故そうなってしまうんだ~!

子供の嘆きを、考えてよ。冷静になってよ。

ネタバレになるので、多くを語れませんが(汗)。。


後味は悪いけれど、刑事の九野さん、チンピラ高校生を懲らしめる登場シーンから、やたらとかっこよかったです。惚れました(殴)。

九野さんにとっては、そう悪い結末ではなかったのは、せめてもの救い・・かな。
邪魔〈上〉 邪魔〈上〉
奥田 英朗 (2004/03)
講談社

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「最悪」奥田英郎

「空中ブランコ」で直木賞を受賞した奥田英朗さんですが、この作品は明るく楽しい伊良部ものとは一転して、重く苦しい小説でした。

零細企業の社長である川谷新次郎、さえない銀行員の藤崎みどり、無職で自堕落な危ない男、野村和也。

まるで接点のないこの3人が、三者三様の「ちいさな躓き」から、どんどん事態を悪化させ、まさに「最悪」の状態に陥っていきます。

この主役3人主体の文章が、順番につづられるので、上下二段びっしりの長編だけれど、全く飽きさせません。

そして終盤、今まであまり接点のなかった主人公3人が、銀行強盗のシーンで、一堂に会します。

それから先は目が離せず、まさに「一気に」読みました。


奥田英郎さんは、脇役の一人一人に至るまで、描写が非常に丁寧で、リアリティがあります。

藤崎みどりの、一見良心的?と思われていた上司が、実はまた違ったズルイ側面も持っていたり、有能なエリートと思われていた男が、実は情けの薄い、いい加減な男だったり、内気なだけだと思っていた作業員の青年が、実は全く他人と会話の出来ない人間だったり。

「ああいるいる、こういう人」と思わせてくれます。

主人公3人が、まさに「最悪」に状況に陥るこの作品は、読んでいて息苦しくなるほどでしたが、

読後感は良かったです。


全てを失ったかに見えた主人公達には、本当に信頼の出来る、誠実な人間が残りました。

(川谷の、隣人の零細企業社長の山口さん、好きでしたね。短気だけど誠実で。)


「最悪」は、他人の思惑や悪意によって、これ以上ないほど徹底的に追い込まれる人間を書いた物語だけれど、その最後には、「再生の予感」を残してくれました。

こちらが直木賞でも良かったのに、と思わせられるほど、読み応えのある小説でした。

最悪 最悪
奥田 英朗 (2002/09)
講談社

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小さな成長

この前の日曜日、息子将史と下の娘真理子を連れて、都電荒川線に乗りました。

(夫と百合子は風邪引きなので、お留守番)

この都電荒川線、お花見シーズンの日曜日だからか、やたらと混んでいました。

私たちは始発の早稲田停留所から乗ったので、悠々と座れたのですが、東池袋を過ぎ、

鬼子母神を過ぎるころから、ほぼ満員状態になってきました。

この辺りには、「おばあちゃんの銀座」です。

ご老人がよく乗車されます。

私たちの座っている前にも、ご老人が来ました。

席を譲るべきなのでしょうが、私の膝には、一歳の娘がいます。

10キロ近い娘を抱っこしつつ、立つのは辛いです。。

私は卑怯にも(汗)、誰かこの人に席を譲らないかな~、としばらく様子を見ていました。

すると・・、少し離れたところに座っていた息子が、すっと立ち上がり、ご老人のところに駆け寄ると

「どうぞ~♪」とにっこり笑って、席を勧めたのです。

その後息子は私の前に立って、時折人波に押されながらも、終始ご機嫌でした。

ご老人は降りるときに、

「坊や、ありがとうね」とわざわざお礼を言ってくださいました。


小学生が、こういうときに立つべきなのは、当たり前で、別段誉めることでもないのですが(汗)。

今まで息子は、電車やバスに乗ると、「座りたい~」と文句を言う、弱虫君だったんです。


いつの間にか、成長したなあ。

息子のささやかな成長に、愚母は目を細めたのでした。。

こいつ、本当に医者か?

・・という帯が目を引いて、買っちゃいました。

奥田英朗「イン・ザ・プール」

精神科医伊良部のもとを訪れる、ちょっと変わった心の病を持つ患者達。

プール依存症の男性、陰茎強直症(赤面)の男性、被害妄想癖のモデル、ケータイ依存症の少年。。


だがこれらの人たちを診察する医者は、もっと変。

精神科医伊良部は、色白でデブ。不潔ったらしく、マザコン。

しかも注射フェチ(ここを訪れた患者は全て、野菜不足だから、とか無茶苦茶な理由で注射される)。

でも、やたら人懐こい。

患者の話をよく聞いて、親身になってカウンセリングを・・・、などということは全くせず

ただ患者とおなじ目線で、治療を楽しもう(と私には思える)とする。

プール依存の男性には、「ぼくも一緒に泳ぎに行く」。

「豊島園のプールに行こうよ~」とまで言い出し、男性は中年男二人で、曇天の「としまえん」の流れるプールでぐるぐるするはめになる。

ケータイ依存症の少年には、「お昼はオムライスを食べました」などの、どーでもいい内容のメールを少年に送り続け、下らないので少年が無視していると、「どうして返事をくれないの?」と子供のように拗ねる。

でも何故か、最後には、患者達は、伊良部によって笑いを取り戻すようになっているのです。。


ついでにただ一人の看護士マユミさんは、無口な露出狂の美女(笑)。
マユミさん、かっこよくて好きです。


いや~、久々に、本を読みながら大笑いしました。

掛け値なしに面白い!楽しい本です。

本当に伊良部のような医者がいたら、絶対に診療は受けたくないけれど(笑)。

患者達が伊良部から学んでいくのは、

「こんなおじさんでも医者になれるんだ。」というのと

「伊良部みたいに、適当に生きていてもいいんだな」ということだと思われます(笑)。


この作品の続編が、直木賞受賞の「空中ブランコ」。

こちらも読んだので、また感想を書きます。
イン・ザ・プール イン・ザ・プール
奥田 英朗 (2006/03/10)
文藝春秋

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「幻夜」

「白夜行」の続編というこの長編も、早速読んでみました。

白夜行が雪穂と亮司の物語なら、これは美冬と雅也の物語。

美冬・・が実は何者なのかは、はじめから予想がつきました。

おそらくこれを読んだ方は皆そうでしょう。「白夜行」の「続編」なのですから。


「白夜行」は、徹底して、主人公二人の視点からの描写をしませんでした。

それがかえって、雪穂と亮司の神秘性を高めていました。


「幻夜」では、雅也の視点で物語が語られます。

当然、相棒?の美冬の言動や企みも、かなり詳細に描写されます。


全て読み終わって感じたことは・・

雪穂は、亮司にも雅也に対するように、あれこれと悪事の指示を出していたのだろうか、と、

彼女に幻滅しました。

美冬は、素晴らしく頭が良い女性なのでしょう。時代を読む確かな目も持っている。

でも、関西弁で、あれこれと悪巧みをする彼女は、「白夜行」の雪穂に比べて、俗っぽく、下品です。

そして、怖ろしく冷酷。

やはり雪穂・・美冬は好きになれないです。

東野さんは、「内助の功」的な、良妻賢母の女性より、美冬のような女性がお好きだと仰っていたのを、ネットで読んだことがありますが、よほど懐が深いのか、それとも変わっているのか(汗)?

お話は時間を忘れるほどに面白いのですが、結末は・・悲しいです。

美冬に振り回された雅也。人生を滅茶苦茶にされた雅也。

それでも、・・・あの決断をするんですね。

雅也のような男こそ、女性の理想かもしれません。

幻夜 幻夜
東野 圭吾 (2004/01)
集英社

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野菜を食べんと、だちかんぞ。

・・というコマーシャルが、その昔にあったのを覚えていらっしゃる方はおられるでしょうか?

「だちかん」というのは、確か石川県の辺りの方言で、「だめだ」という意味だったかと。


閑話休題。

私の夫は身長182センチ、体重100キロを超える大男です。

彼と並ぶと、デブの私も小柄に見えます(笑)。

クマのような体型にそぐわず、夫は温和な性格で、結婚10年経ちますが、未だに

喧嘩らしい喧嘩をしたことがありません。

私がぷんすかしていても、大抵向こうが取り合わないのです。

夫婦円満は良いことなれど、何となく「暖簾に腕押し」的な物足りなさを感じることもあります。

(夫と仲が悪かったら、とても同居はできないですけど・・以下自粛)


しかし、そんな夫でも不満はあります。

もっと野菜を食え!

肉より魚を食え!

会社の健康診断のころになると、やれ尿酸値が高いの、高脂血症だの、内臓脂肪がついてるのと、食生活の不満を漏らします。

しばらくは私も気にして、お肉控えめ、和食中心、を心がけます。

カレイの煮付け、小松菜のおひたし、具沢山の味噌汁、大根とイカの煮物。などなど。。

料理本と首っ引きで作ってみたけれど・・。

ろくに食べないじゃん!

イカと大根の煮物は嫌いだあ?里芋の煮物もかぼちゃの煮物も食べないじゃん。

豚のしょうが焼きやホイコーローなら4杯飯食べるのに~。

和食系は子供にも受けないし、残すともったいないから、全部私が食べてるんだぞ~。
イカと大根、美味かったぞ!自分が作っておいてなんだけど。

和食だって沢山食べると肥えるんだぞ。


仲の良い夫婦は、顔も似るという。

私たち夫婦は、何故か結婚前から雰囲気が似ている(まったりとくつろぐカバのような雰囲気だそうな)と言われてきたけれど、このままでは体重も歩み寄ってしまうぞ。

何とかせねば(汗)。

鬱の引き金

たまに、つまらないことを引き金にして、ひどく気分が落ち込むことがあります。

今はまさにその状態です(泣)。

本好きの私は、買い物の途中でしょっちゅう本屋により、文庫本その他を買い込んでくるんですが

やはり自分の稼ぎのない専業主婦、最近本代が家計を圧迫し始めました(汗)。

近所の書店の品揃えも、ベストセラーばかりに重点を置いていて、不満です。

そうだ、図書館ならタダじゃん!と、近所にある図書館に娘を連れて出かけてみました。

しかし、そこは、児童書に重点を置いた図書館で、一般書が少ない。

高校の図書室とおなじレベルでした。

それでも、読んだことのない本、東野圭吾の「幻夜」とか、恩田英郎の本とか、4冊を選んで、

借りることが出来ました。

そこまでは良かったんですけど・・、その後、2歳の娘、百合子が、階段を踏み外して転び、

館内に響き渡るほどの声で泣き出しました。

抱き上げて、怪我しているかどうか確かめると、膝を打った程度で、特に問題はなさそうです。

でも・・、振り返ると、初老の館員さんに、ひどく険しい顔つきで睨み付けられていました。

「他の方の迷惑ですので、静かにしてください!」

私は平謝りにあやまり、そそくさと図書館を後にしました。

本当はもう少し、子供の絵本なんかも見てみたかったけど。


こういう場所で泣いている子供が、顰蹙買うのは分かりますよ。

私だって、独身の頃だったら、「うるさいな!」とムッとしていたかもしれない。

でも・・、幼稚園生ぐらいになったならともかく、2歳児は、痛かったらTPOなんて心得ずに、

泣くんです。どうしたって。。


あの年代の、特に男性は、「子供が泣くのは、とにかく母親が悪い」と思われているようですが。

それ以前に、子連れの女はこんな場所にのこのこ来るな!と思われたのかな。。


何となく、あの図書館には、行きにくくなってしまった。

借りた本は、休館日に、返却ポストに入れておこうと思っています。

小さなことなれど、気が落ち込む。。

でも、私は本が読みたい。

これからはネットで、出来るだけ文庫本を、選ぶようにしようかな。
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