三毛犬ジョニーへの伝言

旧「自堕落な蟻」 ブログ名変えました。ジョニーは昔飼っていた可愛いビーグルの名前です。

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「ヴェラ・ドレイク」

息子を出産するときのこと。
陣痛室で七転八倒していると、「まだお産に時間がかかりそうだから」と、助産婦さんが私を残して他の妊婦さんのところへ行ってしまいました。
初めての出産ということもあり、やたらと心細かった・・。

そのとき、ふっと以前読んだ新聞記事を思い出したのです。
イラクがクウェートを侵略していた数ヶ月の間に、多くのクウェートの女性はイラク兵にレイプされ、妊娠していたこと。
湾岸戦争が終わってから、敵兵によって不運にも望まぬ妊娠をしてしまった女性たちは、やっと医師の診察を受けられ、3分の2ほどの女性は堕胎することが出来たこと。
残り3分の1の女性は、・・時既に遅く、出産せざるおえなかったこと・・・。

祝福された妊娠であり子宝であるからこそ、この「いっそ殺してくれ~!」と叫びたくなるような痛みにも耐えられる。

しかし忌まわしい体験をし、その結果である子供を産まねばならぬ女性たちの、苦しみは如何ばかりか。。


「ヴェラ・ドレイク」

1950年のロンドン。

成人した2人の子を持つ主婦、ヴェラは、とにかく優しく明るく人柄が良く、夫との仲も良いという、
非の打ち所のない女性でした。
ですが、彼女にはある秘密がありました。
20年以上も、望まぬ妊娠をしてしまった若く貧しい女性たちに、無償で(!)堕胎施術を請け負っていたのです。

ある事件があって、ヴェラの「裏の仕事」が、明らかにされ、彼女は逮捕されます。
ヴェラは警察に弁明します。

「私は若い女性を助けました」


当時、イギリスでは堕胎は無論、避妊も禁じられていました。


裕福な人々はいい。
子沢山になったところで、飢える心配はないし、それにもし望まぬ妊娠をしても、お金を出せばいくらでも「抜け道」がありました。

しかし貧しい人々は・・、子が一人増えれば「餓死」の危機に直面するのです。
レイプされて妊娠しても・・公的に手を差し伸べてくれる人はいません。

確かに堕胎は、芽生え始めた小さな命を殺すことです。
それが悪いことであると、ヴェラも知っているのです。

終盤・・ヴェラ自身も若い頃、「助けて欲しかった」経験があったことが明らかになるのです。。


彼女は結局有罪とされ、服役することになります。


当時の価値観で善悪を単純に唱えるのなら、なるほど彼女は悪事を働いたことになるのでしょう。

でも果たしてヴェラは悪女か?

私は思うのです。

何かを単純に、あるいは一つの価値観のみで、善悪を分け、裁こうとするのは、一種の思考停止状態ではないのか、と。
信仰を盾に彼女を裁く側の人々、富める人々は、社会的弱者の立場や苦しみなぞ、ついぞ考えたことがないのでしょう。
まして産まされる立場である、女性の苦しみなぞ。

ヴェラは、罪を犯しました。
でも、ヴェラが思いやり深い 優しい女性であることに変わりはありません。

ヴェラは、苦しむ女性たちを、「助けた」のです。

重い映画でしたが、役者達は皆見事な演技でした。
こころにずっしりしたものを残してくれる、名画です。


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