三毛犬ジョニーへの伝言

旧「自堕落な蟻」 ブログ名変えました。ジョニーは昔飼っていた可愛いビーグルの名前です。

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「月神(ダイアナ)の浅き夢」 柴田よしき

手足口病で次々と病み伏す子ども達の脇で、読書三昧。
嵌まりに嵌まったRIKOシリーズも、とうとう最後の巻。
一気に読むのが惜しくて、出来るだけちびちびと読み進めました。


(あらすじ転載)

若い男性刑事だけを狙った連続猟奇殺人事件が発生。手足、性器を切り取られ木にぶらさげられた男の肉体。誰が殺したのか?次のターゲットは誰なのか?刑事・緑子は一児の母として、やっと見付けた幸せの中にいた。彼女は最後の仕事のつもりでこの事件を引き受ける。事件に仕組まれたドラマは錯綜を極め、緑子は人間の業そのものを全身で受けとめながら捜査を続ける。刑事として、母親として、そして女として、自分が何を求めているのかを知るために…。興奮と溢れるような情感が絶妙に絡まりあう、「RIKO」シリーズ最高傑作。




若い独身の男性刑事、しかも美男子だけを狙った猟奇殺人事件。
捜査の陣頭指揮を取るのは、今は警部に昇進した高須。
高須は緑子に、「怖い」と弱音を吐く。
緑子は高須が唯一弱音を吐ける相手。高須いわく「自分の最低な部分を知っているから」

・・・あらやだ。何このナルシー男。
若い。独身。美男子。のキーワードで、星の数ほどいる男性刑事の中から自分が狙われると決め付けてんの??

第一作の緑子への蛮行が許しがたく、あまり高須が好きではない私は引き気味だった序盤ですが、「お前に被せられた汚名を返上してみろ」と、高須が緑子を本庁の捜査本部に呼ぶところから、俄然面白くなります。
今でも高須はリコが好きで好きでたまらないのね。もはやどうにもならないけれど。
リコは過去の高須の所業を「許さないけど呑みこんだ」と言います。緑子の強さが現れていて印象深いです。

さて、かって上司安藤との不倫が問題となり、高須をはじめ彼女を妬む同僚から「上司と寝て出世した女」という誹謗され、石つぶてを投げられるように本庁を追い出された過去を持つ緑子。

今でも緑子に対して不遜な態度を取ったり、無視したり、下品な言葉で罵ったりする刑事が出てきます。
でも、本作では彼女を誹謗して貶めるような人間は、それなりの取るに足らない人物だと分かります。

仕事の出来る大物刑事、山背警部や及川、円谷などは、緑子の実力を認めています。
緑子の奔放さなど、それはそれ、これはこれ、です。

人を卑しめて、自分が上に上がれないことの言い訳にしているような人間は、所詮それまでの男なのです。


今回も広く散らばったパースを、見事に一つの結末にと導いています。

麻生、そして山内も登場します。

と、いうより、この二人が影の主役のようです。


山内練。
何と魅力的な悪なのか。
最後の最後に、泣かせてくれました。

リコシリーズでもっとも印象に残る男といえば、この山内練、そして麻生龍太郎ですが、
シリーズ中もっともいい男といえば、リコの部下、坂上だと思います。

見た目ではなく、誠実さ、優しさという面で。

第一作でリコを庇って本庁の人間に殴りかかったり、本作では「他の人と組んだほうが出世できるかもよ」と言うリコに怒りの本音を漏らしたり。
酷い目にあった静香の気持ちを思いやり、自分も沈み込んだり。
情けの薄い男なら、傷ついている女性の気持ちを斟酌せず、敬遠したりするでしょう。
坂上は人の気持ちの分かる、いい人です。
静香さんと幸せになって欲しい。

緑子とこれでお別れなのかと思うと、とてもさびしいです。

山内と麻生の二人は人気が高いらしく、「聖なる黒夜」「所轄刑事麻生龍太郎」「私立探偵麻生龍太郎」と続編があるのですが、緑子の登場するものはないようです。

一人息子の達彦は、どんな子どもに成長するのか。
成長するにすれ、本当の父の面影を宿したりはしないのか。

安藤とは本当に入籍してしまうのか。

麻生との仲はどうなるのか。

実父との和解はないのか。

世田谷に配属された末の妹葉子の夫、長尾さんは登場しないのか。

静香は結局警察を辞めてしまうのか。


気になることがたくさんあります。

緑子主役でなくてもいいから、山内と麻生の物語の脇役としてでもいいから、緑子の消息が知りたいです。

できれば第4作目を書いて欲しいですが・・、もう10年以上も前の作品だから、無理なのかなあ。。

あと、話の本筋には関係ないことなのですが、気になったことがひとつ。
本作では、緑子の妹奈々子が過去の中絶手術によって卵管が閉塞し、不妊症になってしまった、と緑子に告白する場面があります。
デビュー作の「女神の永遠」にも、リコの恋人、バイセクシャルの陶山麻里が、過去に上司に弄ばれて二度堕胎し、その結果卵管癒着で不妊症になった、とリコに告白する場面がありました。

私は産婦人科の医師ではありませんが、不妊治療に長く通った経験はあるので、ちょっと一言。

女性の卵巣は二つあり、卵管も二つあります。

ひとつが癒着しても、もうひとつの卵管が無事なら自然妊娠は可能です。

卵管造営検査を受けると、どの程度の癒着なのかが明らかになりますが、この卵管造営検査を受けるだけで詰まった卵管が治ることも多いそうです。
(これ、私も受けたことがあります。検査後、生理痛のような痛みがあったのを覚えています。私の場合脳下垂体に問題があったわけですが)

検査で癒着が確認できれば、手術で治療は出来るはずです。

あまりにもガチガチに癒着していて、手術も無理と場合なら、最終的には体外受精という手があります。

健康な女性に比べれば、自然妊娠しにくくなったというだけで、卵巣と子宮が無事なのだから子を授かることは不可能ではないはずです。

麻里。奈々子。

子が欲しいと思うなら、まだ打つ手はあるよ。

もっともっと深刻な状態の不妊に悩んでいる人はいるよ。

どうか自分を、女として不良品になったとは思わないで欲しい。

・・・と、創作上の人物に呼びかけたくなりました(汗)。

特に陶山麻里。

不妊症になったと思い込んだりしなければ、ああいう人間に変貌しなかったのではないかと、彼女を哀れに思います。

安易な人工中絶は危険。まず避妊を心がけて、と読者に訴えるにはいいかもしれないけれど。



月神(ダイアナ)の浅き夢月神(ダイアナ)の浅き夢
(1998/02)
柴田 よしき

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