三毛犬ジョニーへの伝言

旧「自堕落な蟻」 ブログ名変えました。ジョニーは昔飼っていた可愛いビーグルの名前です。

「小公女」 バーネット

日曜日の夕方、洗濯物を畳みながらぼんやりとテレビに目を向けると、BSで「小公女」のアニメの再放送をやっていました。

6歳の末娘は夢中になって見入っています。

娘も幼児向けの絵本で「小公女」のあらすじは頭に入っているものの、動く映像はやはり新鮮に感じるようです。

一緒にアニメを少し見ていて、感じたこと。

白人版おしんみたい・・。

思えば私はちゃんとバーネットの原作小説を読んだことがなかった。

子供向けの本とアニメとで、知ったつもりになっていただけで。

はてさてセイラちゃんは本当にこんなに超人的なまでに忍耐強いいい子なのか?


原作小説は伊藤整訳のものと川端康成訳のものがありましたが、川端康成版を選択。


小公女といえば、意地悪な人の代名詞のようなミンチン先生と性悪少女ラヴィニア。

ラヴィニアとキャンディ・キャンディのイライザは古典的意地悪女の代名詞のように子どもの頃は思っていましたが、原作のラヴィニアはそれほどではありませんでした。

ラヴィニアはもともとセイラとは気が合わす、彼女のことが嫌いなのです。

ラヴィニアのセイラに対する態度は、彼女が富めるときも貧しいときも変わらないのです。
常にセイラが嫌いなのです。
むしろ裏表のない人です。


ミンチン先生もそうですが、セイラをもっとも苛むのは、財産を失った途端に手の裏を返す、学校の料理番や使用人たちなのです。

転落した彼女を支えるのは、親友アーメンガードと女中のベッキーです。

ベッキーは女中達の中でも奴隷のような扱いを受けていた少女でしたが、優しいセイラを心から慕っています。
彼女が財産の一切を失ったと知ったとき、
「お嬢様が可哀想です」とセイラのために号泣します。

ベッキーがもし、情の薄い、我が身のことしか考えない人間だったら、他の女中たちのように手の裏を返して、いきなりセイラに冷たく当たったかもしれません。

また、セイラはミンチン先生や他の使用人から酷薄な扱いを受け、常にボロボロの衣服を着て、食事もろくに与えられず、飢えと寒さに苦しむようになります。

そんな人生どん底状態にあって、セイラはベッキーのために非情な大人たちに対して怒りを爆発させます。

「ベッキーは飢えを凌ぐために、ゴミ箱の中のパンを拾っているのに」と。

セイラもベッキーも、このどん底状態にあって我が身の不運を嘆くのではなく、心を通わせた友達の事を心底案じているのです。

読んでいて胸が熱くなりました。

読書家で空想好きなセイラは、「バスティーユに幽閉されたマリー・アントワネットを思えば、何ということもない」と自分の精神を高く保とうとします。
自分のことをお姫様、小公女と思い、気品を保とうとします。

多くの読書家と同様に、セイラは芯が強く、自分の世界を持っているのです。

ただ心優しいだけ、忍耐強いだけの人間ではありません。

表に出さないだけで、怒りのパワーも確かに持っているのです。

終盤そのパワーがミンチン先生に対して発揮されます。

終始いい子の絵本やアニメでは描かれないセイラです。

等身大の彼女に、胸のすく思いがします。


満たされているときに人に優しくあることはたやすいです。

人生どん底にあっても、セイラやベッキーのように、他人に対して優しく、思いやりを持つことができるでしょうか。

また相手がどういう状態であっても、アーメンガードのように変わらず友に接することが出来るでしょうか。

変わらない人こそ、強く優しい人。

それがこの作品のテーマなのでしょう。


財産のあるなしで態度を豹変させる醜悪な大人たちに怒りを覚えましたが、私は自分が気が付いていないだけでこんな大人になっていないかな・・。

お話好きの末娘に、子ども絵本よりももっと詳しい「小公女」を読ませたいけれど、この川端康成訳角川文庫はさすがにまだハードルが高いです。
新潮文庫の伊藤整訳もまだ無理でしょう。

あまり簡単だとテーマがぼやけてしまうだろうし、もう少し、小学校低学年向けの「小公女」はないかなあ。。


小公女 (角川文庫 (1706))

小公女 (新潮文庫)小公女 (新潮文庫)
(1953/12)
フランシス・ホジソン バーネット

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464:

恥ずかしながらワタシめも読んだことがありません。
(碌でもない小説は読むのに・・)

夏休みの読書感想文ってツラかった。
文部省推薦の本ってどうしてああも退屈?
表紙絵が地味だから?
きちんと感想文を書きたいのに、あらすじで終始し、
とても提出できる代物ではありませんでした。

>相手によって態度を変える。
わが身を守るために身に付いた処世術。
一番ラクな方に転がる取るに足らない路傍の石です。
知らず知らずに自分の中にも差別意識が在るのかも。
あの人にはこう、
この人にはこう、って。

これらは大人達が読むべき本ですね。
日常の垢を浄化させるためにも。

ちゃんと精神面も大人になってないオトナの多いこと!
オトナ専用の本が欲しい。
本じゃ敷居が高いので(文字見ただけで眠くなる夫のように)、アニメではどうか?
ハウス(カルピス)まんが劇場の再建を望みます。 そっち?

2011.08.18 07:51 ゴエ #8iCOsRG2 URL[EDIT]
465:そうそう!

私も読書感想文苦手でした。

だって学校お勧めの本、教師受けのいい本と、私の読みたい本がかけ離れているんですもん。

文部省推薦課題図書、とあるだけで「げっ!つまんなそう」と拒否反応を起こしましたし、実際読んでもつまんなかったです。

子どもにはたくさん本を読んだほうがいいとは思いますけど、価値観の押し付けは良くないですよね。
つまらないのに「感動した」とか「面白かった」とか、記号化されたような感想なんて書きたくなかった。
課題図書なんてやめて欲しかった。でなければ「つまんない」と正直に書いても許容して欲しかったです。

以前読んだ「二十四の瞳」もそうでしたが、児童文学と思われているものって案外奥が深くて、「大人向け?」と思わせられるものが多いです。
大人目線で読むからそう感じるのかもしれません。
でも優れた児童文学は大人が読んでも面白いですよね。
課題図書と違って。。

ハウス漫画劇場、再開して欲しいです~!
ついでにまんが日本昔ばなしも!

さて、シスターズの読書感想文用の本、何がいいかなあ。。

2011.08.19 02:03 明石の上 #- URL[EDIT]

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