三毛犬ジョニーへの伝言

旧「自堕落な蟻」 ブログ名変えました。ジョニーは昔飼っていた可愛いビーグルの名前です。

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「ハピネス」 桐野夏生

三十三歳の岩見有紗は、東京の湾岸地区にそびえ立つタワーマンションに、三歳二カ月の娘と暮らしている。結婚前からの憧れのタワマンだ。
おしゃれなママたちのグループにも入った。そのリーダー的な存在は、才色兼備の元キャビンアテンダントで、夫は一流出版社に勤めるいぶママ。
他に、同じく一流会社に勤める夫を持つ真恋ママ、芽玖ママ。その三人とも分譲の部屋。しかし有紗は賃貸。そしてもう一人、駅前の普通のマンションに住む美雨ママ。
彼女は垢抜けない格好をしているが、顔やスタイルがいいのでいぶママに気に入られたようだ。
ある日の集まりの後、有紗は美雨ママに飲みに行こうと誘われる。有紗はほかのママたちのことが気になるが、美雨ママは、あっちはあっちで遊んでいる、自分たちはただの公園要員だと言われる。
有紗は、みんなには夫は海外勤務と話しているが、隠していることがいくつもあった。
そして、美雨ママは、有紗がのけぞるような衝撃の告白をするのだった……。
「VERY」大好評連載に、新たな衝撃の結 末を大幅加筆!
(アマゾンの紹介文より)

豊洲からゆりかもめに乗ると、天高くそびえ立つマンション群が見えます。
お洒落で綺麗、清潔そう。でも生活感のない蜂の巣みたいなタワーマンション。
そこに住む若いお母さん方のお話です。

基本みんな裕福ですが、そこには小さなグループの中でも、ごく小さな差異(同じマンションでも西棟か東棟か、分譲か賃貸か)で差別化して内々で見下したり・・・、よくある見栄っ張りで視野の狭い人たちの小競り合い。

と、上から目線で評してみましたが、こういう小さな内紛は小説の中の作り事ではなく、意外に身の回りにあるんです。

相手の着ているもの、持ち物財布靴などを、さっと見て値踏みするような人、結構いませんか?
質の好いものは身に着けることは良いことなのですが(そのほうが長持ちするし)、他人に上等な人間と思われたいために、お金持ちと思われたいためにブランド武装するのは、正直言ってさもしい。

この本のラストでママ友のあこがれの的だったいぶママ(伊吹ちゃんという女の子の母)にある出来事があり、タワーマンションを引っ越していくのですが、豪奢な一軒家に越していったはずのいぶママの家が実は・・!というオチがあります。
こういう人種が好きではない私は、「それがどうした~!俗物どもめ」と思いました(笑)。

いつものキリノの毒はかなり薄めでした。「VERY」に連載されていた小説ということで、納得です。
ファッション誌に「グロテスク」や「残虐記」のようなダークな作品は書けないでしょう。。
後味は悪くなかったけど、ちょっと物足りなかったかな。

主人公の有紗にはあまり共感できませんでしたが、「子供をまた奪われたらどうしよう」という恐怖は同じ子を持つ母としてよく分かります。
かなちゃんが不幸にならなくてよかった。
そして冷たい人かと思われた夫の両親が立派すぎです。
思慮深いし、言っていることは正論。そして優しさもある。

本当にレベルの高い人間とは、俊介の両親のような人だと思いました。

ハピネスハピネス
(2013/02/07)
桐野 夏生

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