三毛犬ジョニーへの伝言

旧「自堕落な蟻」 ブログ名変えました。ジョニーは昔飼っていた可愛いビーグルの名前です。

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博士の愛した数式

第一回本屋大賞(そんなのあったのか)、及び読売文学賞を受賞した小川洋子氏の作品です。
2003年度の「泣ける本」ベスト1だそうです。

「泣ける」「感動する」とやたらに煽られると、へそまがりの私はかえって引くのですが、小川洋子という著者名に惹かれて、試しに買ってみました。

「冷めない紅茶」「妊娠カレンダー」といった小説を読んだことがありますが、小川さんは、冷徹ともいえる観察眼と、独特な毒を内に秘めた方だという印象を持っていました。
この人の書くものが、巷に溢れる安易な「泣き小説」のわけがない、と。

家政婦を生業としている「私」は、ある上品な老婦人の元へ派遣されます。
仕事は老婦人の、離れに住む「義弟(夫の弟)」の世話をすること。そして離れのトラブルをこちら(母屋)に決して持ち込まないこと。
義弟・・もと数学博士だったという老人は、30年前に遭った交通事故で脳に損傷を受け、記憶が80分しかもたない病気でした。

はじめ気難しいかと思えた博士は、実は内気で、会話の糸口を数字に頼ります。
無理もない。博士にとっては毎日顔をあわせているはずの「私」も、初対面の人なのです。

「君の靴のサイズはいくつかね」
「24です」
「ほお。実に潔い数字だ。4の階乗だ」
毎朝通ってくる「私」に、博士は会話の糸口をつかもうと、毎日同じ質問を繰り返すのです。

でも、「私」の子供ルート(頭の形が√だから)が博士の家に来るようになってから、博士の態度はどんどん穏やかで優しいものになっていきます。

博士はたびたび数学がどれほど美しいかを話し、数学の神様を称えます。
「算数」レベルの問題で四苦八苦するルートと「私」を楽しそうに見守り、解けたときには最大の賛辞を惜しみません。

また3人は無類の阪神ファン。でも博士の「阪神」は30年前で止まっているので、江夏がもはや現役ではないと知って落胆したりします。翌朝には忘れているけれども。。

でもやがて、博士の「80分テープの記憶」すらも徐々に壊れていき・・。

未読の方に差しさわりのないように、大体のあらすじを説明するとこんな感じです。上手く書けませんでしたが。。

一読して、あの小川洋子さんは、こんなに優しい小説が書けたのか、と驚きました。
読み進むごとに、温かい心持ちになり、ヨボヨボの老人の博士がいとおしく感じられてきます。

博士が随所で開陳する数学の薀蓄も面白い。
子供のときにこんな先生がいたら、私も数学が好きになっただろうに・・(笑)。

ただ、博士と義姉の関係には、「やっぱりなあ」と思いました。それだけはちょっと興ざめでした。

終わり近く、大人になったルートと博士がキャッチボールをするくだりは、まるで映画を観ているように、そのシーンが頭に浮かびました。。

この本は決して安易な「泣ける」小説ではありません。
上手く言えませんが、幸福感で胸がいっぱいになり、目がじんわり潤んでくるのです。。
さすがは、小川洋子。

ところで、博士の愛した江夏豊さんはこの小説読んだかな・・・?
博士の愛した数式 博士の愛した数式
小川 洋子 (2005/11/26)
新潮社

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