三毛犬ジョニーへの伝言

旧「自堕落な蟻」 ブログ名変えました。ジョニーは昔飼っていた可愛いビーグルの名前です。

東京タワー オカンと僕と、時々オトン

リリー・フランキーと言えば、そらトボケた独特のイラストと、ちょっとお下品だけどやたらと面白いショートエッセイを書く人、という印象でした。

息子はアニメ「おでんくん」の人、と言います(笑)。


この「東京タワー」は、著者始めての長編、自伝的小説です。

ベストセラーなので、ご存知の方も多いでしょう。

帯には、沢山の著名人の推薦文が付いてました。

「泣ける」とか「感動した」とかまくし立てられると、へそ曲がりの私はかえって引くのですが、この本には、・・やっぱり泣きました。

某有名作家浅○次郎のような、「ここらでいっちょ、泣かせてやろう!」のような、あざとさがないのです。
(私見です。浅○ファンの方、お怒りにならないで下さい)


著者の母と著者との生活が、子供時代の頃から、淡々と語られます。


「オカン」は、「ぼく」の箸の持ち方なんて、別に拘らないけれど、他所の家で食事に招かれたとき、漬物を先に食べるのは許さない。
他に食べるものがない、という意味になり、相手に恥をかかせることになるんだそうです。
オカンは、勉強しろとは言わないけれど、「人に恥をかかせるな。」という教育方針を持った人でした。

「オカン」は「ぼく」が小さなころに「オトン」と別居し、女手一つで、住所を転々としながら、ぼくを育てます。
料理上手で、貧しいながらも、息子の食卓にはいつも何品ものおかずを並べます。

「ぼく」は高校から「おかん」と別れて進学し、放蕩生活したり(この辺、父親に似たのかと)留年したりしますが、ぼちぼち、何とか、生活していけるぐらいの仕事を得ます。

その間、「オカン」は、一人で働き詰めで、しかも落ち着くける家がありません。
「オトン」は、離婚はしていないものの、別の女性と生活しているのです。

後に彼女は「私の財産は、これだよ」と、「ぼく」の卒業証書を差し出すのです。。

「ぼく」は「オカン」を東京に呼び寄せ、一緒に生活することにします。

・・でも、「オカン」には病魔が、忍び寄って来ていたのです。


自分を犠牲にしても、我が子を愛し、いとおしみ、育ててくれた母親の死・・。

「誰にでも訪れる悲しみだ」と著者は言いますが、世の母親全てが、「オカン」のように立派ではありません。。

私など、子育ての真っ最中なのに、何か私には他にやれることがあったはず。
などと今の生活に不満を持ってしまいますから・・、「オカン」のように良い母親にはなれません。

子供のために全てを注ぎ込み注ぎ込み、萎んでしまったような、「オカン」の人生。。

どこかの書評で、著者を「マザコン」と書いていたものを見かけましたが、私はそうは思いません。

これほど子供のために全てを投げ打ち、しかも他に心の拠り所(夫、家)のなかった人を、息子が大切に思うのは、至極当然でしょう。

「男が女親を好きで、何が悪い」という言葉、この本を読む限り、もっともだと思いました。

「ぼく」が「オカン」を看病し、見取るくだりは・・、涙が滂沱と流れてしまうので、読み返すのが困難なほどです。

時々、文章が唐突に切り替わるので、ちょっと読みにくいなと感じたところもありましたが、評判どおり、良い本です。

今のうちに、親孝行しなくちゃ、とも思わせられました。
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
リリー・フランキー (2005/06/28)
扶桑社

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