三毛犬ジョニーへの伝言

旧「自堕落な蟻」 ブログ名変えました。ジョニーは昔飼っていた可愛いビーグルの名前です。

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「さびしいまる くるしいまる」

中村うさぎといえば、浪費の人、買い物依存症の人、という認識でした。

「週刊文春」には、もう長いこと、彼女のエッセイが連載されています。

買い物依存症で破産寸前!の中村うさぎは、客観的に見れば、いや見なくてもどこか壊れているのですが、彼女の書くエッセイはとにかく面白くて、当時私は中村うさぎを読むためだけに
「週刊文春」を買っていたのでした。

今の中村うさぎの文章は、どこかしこに暗さが漂っていて、あまり楽しくないです。
うさぎさんが言うには、彼女には「躁鬱」の気があるらしいです。
楽しいエッセイを書いていた頃は「躁」だったのかもしれません。

さて、中村うさぎの文庫新刊「さびしいまる くるしいまる」。

文春のエッセイを読まれていた方は、彼女が買い物依存症から抜け出した後、春樹というホストに入れあげ、破産の恐怖に怯えながら、彼のためになけなしの資産を蕩尽したのをご存知でしょう。

読んでいた当時は、私は「ホストに本気で入れあげるなんて、ネタでしょネタ!」と、思ってました。

この本には、その春樹への愛(うさぎさんにとって)と、自意識に、苦しんで苦しんで苦しみぬいたうさぎさんの、本音が書かれていました。

うさぎさんのエッセイを私が好きなのは、時に自意識過剰であっても、例えば林真理子のエッセイに見られるような傲慢さがないところです。

でも、うさぎさんは物事を深く深く考える性質と見え(それでなぜ浪費癖?ホスト狂い?と言われると困るけど)、この本にはまるで出口のない迷路を歩いているような、息苦しさを感じました。

本編では、「週刊文春」での連載のイメージどおり、春樹はアホだけど可愛い好青年だし、お金が尽きたことでかれと別れることになった(店に行かなくなった」顛末も、実に綺麗に書いてあります。

うさぎさんの内面の苦しみ・・、15歳も年下の美青年に実は恋してしまっているけれど、プライドがあるために表には出せず、気のいいタニマチとして振舞う彼女の、自己嫌悪のさまは、読んでいて苦しくなるほど書かれているけれど。
・・反論があるかもしれないけど、私は六条御息所を連想しました。。

「私は醜い。醜いババアだ。道行く人は私と春樹を見て笑っているに違いない・・。」

自意識過剰かもしれない。

でも春樹との縁は断ち切れない。自分の心を隠しても。
恋愛対象でなくても、ただのスポンサーでも。
資産差し押さえを食らっても、バカな奴と言われても。

そんな息苦しい状態のなかで、うさぎの夫の存在に救われました。
うさぎ夫は、ゲイ。
この夫婦は、お互いの裸を見たことがないんだとか(汗)。
夫は春樹の胡散臭さを見抜いていて、何度も彼女に忠告し、親身になって、助けようとしてくれます。
こういう夫婦の繋がり方も、あるんですね。。

本編「さびしいまる くるしいまる」は綺麗に春樹との別離を果たしたかのように書かれていますが、文庫本収録の「後書き」に、驚愕の!その後の顛末が書かれています。

文春には多くを語らなかったけれど・・、そうだったのね。

やっぱりホストはホスト。

うさぎの夫のほうが、春樹の本質を見ぬいていたんですね。

その後、うさぎさんは春樹の客であった女性の一人と、ひょんなことからメールを交換するようになったといいます。
彼女はうさぎのエッセイを読んで春樹に興味を持ち、指名したのだと。
そしてお金をつぎ込んだ挙句、酷い言葉で傷つけられ、投身自殺をはかったのだと。
一命を取り留めたもののいまだに身動きできず入院中だとか。

「私の本を読まなければ、こんなことにはならなかったのに。
大切な読者に、地獄の苦しみを味わわせてしまった。
本当に、本当に、申し訳ない。
彼女以外の全ての読者にも、心からお詫びを申し上げる。
私は年甲斐もなく、ホストに入れあげ、その軽薄な恋愛を無責任にエッセイに書いて
一人の女性の人生を狂わせてしまった。
それをここにご報告すると共に、深く謝罪いたします。」

・・とうさぎは締めくくる。

大怪我をした女性は、それは気の毒です。
しかし、「文春」の読者は、うさぎの愚行(!)を笑いつつも、「ネタなんでしょ、これ」と
思っていたはずです、多分。。
ホストに興味を持って指名したのは、その読者の自己責任だし、その後のことは、その読者とホストの責任です。
やっぱりうさぎさんは、ちょっと自意識過剰・・だと思います。

でも、彼女のそういうところ、私は好きです。

さびしいまる、くるしいまる。 さびしいまる、くるしいまる。
中村 うさぎ (2006/02)
角川書店

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