三毛犬ジョニーへの伝言

旧「自堕落な蟻」 ブログ名変えました。ジョニーは昔飼っていた可愛いビーグルの名前です。

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「最悪」奥田英郎

「空中ブランコ」で直木賞を受賞した奥田英朗さんですが、この作品は明るく楽しい伊良部ものとは一転して、重く苦しい小説でした。

零細企業の社長である川谷新次郎、さえない銀行員の藤崎みどり、無職で自堕落な危ない男、野村和也。

まるで接点のないこの3人が、三者三様の「ちいさな躓き」から、どんどん事態を悪化させ、まさに「最悪」の状態に陥っていきます。

この主役3人主体の文章が、順番につづられるので、上下二段びっしりの長編だけれど、全く飽きさせません。

そして終盤、今まであまり接点のなかった主人公3人が、銀行強盗のシーンで、一堂に会します。

それから先は目が離せず、まさに「一気に」読みました。


奥田英郎さんは、脇役の一人一人に至るまで、描写が非常に丁寧で、リアリティがあります。

藤崎みどりの、一見良心的?と思われていた上司が、実はまた違ったズルイ側面も持っていたり、有能なエリートと思われていた男が、実は情けの薄い、いい加減な男だったり、内気なだけだと思っていた作業員の青年が、実は全く他人と会話の出来ない人間だったり。

「ああいるいる、こういう人」と思わせてくれます。

主人公3人が、まさに「最悪」に状況に陥るこの作品は、読んでいて息苦しくなるほどでしたが、

読後感は良かったです。


全てを失ったかに見えた主人公達には、本当に信頼の出来る、誠実な人間が残りました。

(川谷の、隣人の零細企業社長の山口さん、好きでしたね。短気だけど誠実で。)


「最悪」は、他人の思惑や悪意によって、これ以上ないほど徹底的に追い込まれる人間を書いた物語だけれど、その最後には、「再生の予感」を残してくれました。

こちらが直木賞でも良かったのに、と思わせられるほど、読み応えのある小説でした。

最悪 最悪
奥田 英朗 (2002/09)
講談社

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252:

こんばんは。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。

2009.02.15 02:31 藍色 #- URL[EDIT]
254:トラックバックありがとうございます。

藍色様、コメントありがとうございます。
こちらからもトラックバックさせていただきました~!

2009.02.22 02:32 明石 #- URL[EDIT]

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不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。 銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んで...

2009.02.15 02:30 粋な提案

奥田英朗著 「最悪」を読む。 このフレーズにシビれた。  ほら、映画なんかで外人がメイドに何かを頼むシーンがあるじゃない。たばこ買ってきてくれとか、下着洗ってくれだとか。ああいうのって、おれらにはできないじゃない。なんか自分のことで人を使うのって申し訳な

2010.05.02 09:46 ご本といえばblog
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